研究課題/領域番号 |
26381063
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡 典子 筑波大学, 人間系, 教授 (20315021)
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研究分担者 |
中村 満紀男 福山市立大学, 福山市立大学, 名誉教授 (80000280)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インクルーシブ教育 / ソーシャル・インクルージョン / 当事者主導 / 自立生活運動 / 特別支援教育の歴史 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、日本のインクルーシブ教育の実態と本質について総合的に把握するため、以下の3つの観点から検討を行った。 第一は、日本のインクルーシブ教育の特質に関する検討である。当該の課題については、小学校から高等学校までを含む各学校段階について、インクルーシブ教育の実態と関係者の意識について調査を行った。とくに高等学校段階のインクルーシブ教育には、入学選抜試験や単位の取得、就労への接続等、義務教育段階とは異なる解決課題が多く存在する。しかし一方で、学級や部活動等を通じて得られる仲間関係には、障害のある生徒たちにとって、中学校まででは得られない、この年齢に独自の重要性があることも事実である。日本の高等学校のシステムは、欧米諸国のそれとは大きく異なることから、高等学校のインクルーシブ教育を実現するためには、日本独自の方法論の構築が必須である。 第二は、インクルーシブ教育の歴史に関する検討である。本研究が現代のインクルーシブ教育を取り扱ううえで歴史にも着眼する理由は、インクルーシブ教育に関する考え方と方法論の根底に、特別支援教育にかかわるその国独自の歴史的展開が深く横たわっているからである。こうした観点から、日本の特別支援教育史を中心に、とくにインクルーシブ教育の要素と密接な結びつきのある事象について検討を行った。 第三は、インクルーシブ教育の出発点である「当事者主義」「当事者主導」をキーワードとして、日本を含む本研究の対象国で、こうした理念がどのように受容され、発展してきたのかについて、欧米諸国との異同を意識しながら分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、本来、平成29年度を最終年度とする予定であったが、主として研究代表者の公務および私的な事情等により、若干の遅れが生じた。平成29年度には最終的な成案を得る段階にまで到達しなかったため、研究計画の延長を申請したところである。ただし、遅れの主たる事由については、年度末までにおおむね解消していることから、次年度の研究について問題はないと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性ならびに具体的な方法については、大幅な変更は必要ではないと考える。次年度は、これまでの成果を踏まえたうえで、最終的な成案を得るべく研究のまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額の発生は、公務および研究代表者の私的な事由により、平成29年度の研究計画に若干の遅れが生じたことによる。平成30年度は最終年度にあたるので、研究総括のための調査旅費、最終成果報告のための論文投稿料・英文校閲費等に充当する予定である。
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