本研究では、占領下に導入された米国起源の行政制度である教育委員会の法制上の意義や課題を、日本起源の他のシステムとの接合の問題として捉え直すことを目指した。当初は地方自治システムとの間に生じた葛藤に焦点化するつもりであったが、意外にも新たな知見に乏しく、本土よりも米国による統治期間が長く影響力が大きかった沖縄に研究対象をシフトさせた。公法人としての学区が行政単位となる米国型では財政面等での地域間格差が課題となる。本土では中央集権化による格差解消が進んだが、沖縄では地方間や中央との調整システムによる解決が目指されており、米国型のもたらす制度コスト低減策として一定の意義を有するものと考えている。
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