研究課題/領域番号 |
26381077
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
掘越 紀香 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (80336247)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幼小接続期 / 戸惑い / 対処行動 / 保幼小連携 / 学童保育との連携 / レジリエンス / 幼小接続期連携力養成プログラム |
研究実績の概要 |
本研究では,以下の3点を目的とした。1)年長児から1 年生までの縦断観察から,子どもが就学でどのように戸惑い適応していくかを,主に対処行動を通して検討する。2)子どもたちを支える保育所・幼稚園・小学校・学童保育の支援の実態を把握する。3)保育者養成で幼小接続期に対応するためのプログラムを実施し,幼小接続期を支援するシステムを提案する。26年度の進捗状況と成果は以下の通りである。 1)幼稚園で年長児のビデオ観察を実施し,遊びや活動場面での揺れへの対処行動のほか,集中・没頭する行動を抽出し,エピソード記録を作成中である。また,昨年度観察した1年生のビデオ観察も実施し,生活や休み時間,学習場面での緊張や戸惑い,対処行動,集中・没頭する行動を抽出中である。 2)高辻(2002)等を参考に,幼児期のレジリエンス尺度を作成して実施し,個人のレジリエンス得点を算出した。 3)1園3名の保育所保育士・所長,2カ所4名の学童保育児童指導員・所長,1校4名の小学校1年生担任教諭・特別支援教育コーディネーターへのインタビューを実施し,連携の現状(交流内容,他の園所との連携)や課題,互いへの要望を尋ねた。その結果,保小連携・幼小連携は進みつつあるが,学童保育との連携は保育所や小学校で必要性を感じながら,十分には整っていなかった。小学校に併設した学童保育は,小学校との連携が密に行われていたが,離れている学童保育は連携が取れている場合,不十分と感じている場合があった。また,接続期の学童保育では子どもに戸惑いが見られ,そこへの配慮が行われていた。 4)幼小接続期連携力養成プログラムを実施し,コーディネーター教員との話し合い,学生の幼小交流への参加,前年度受講生による1年生の下校時サポートを行った。子どもの期待や不安を感じとり,接続期の子どもたちにかかわる経験を通して,教師や大人のサポートの重要性を認識していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)観察として,年長児と,前年度観察している1年生の様子を1年間ビデオ観察した。計画を前倒しして観察を実施した結果,分析はまだ行えていないが,27年度に進める予定である。 2)幼児期のレジリエンス尺度を作成し実施できた。1)との関連の分析については,今後進める予定である。 3)インタビュー対象は当初予定より広がったが,10名程度のインタビューは実施し,特に学童保育との連携の実態や要望が示された。 4)幼小接続期連携力養成プログラムを改善して実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
1)職場異動に伴い,引き続きの観察ができなくなったが,26年度のビデオ観察データから,5歳児と1年生の揺れや戸惑い,対処行動,集中・没頭する行動を抽出し,分析を進める。必要に応じて,対象校園を訪問し,インタビュー等の聞き取りを行う。 2)1年生用のレジリエンス尺度を作成し,対象校の担任に観察した1年生分を依頼する。 3)インタビューの対象者(保育士,幼稚園教諭,学童指導員,小学校教諭)の人数を増やして実施し分析する。 4)職場異動に伴い,幼小接続期連携力養成プログラムの実施が困難になったため,今までの取組みを分析し,そのシステムを提案するほか,他大学での幼小接続に関する養成プログラム等を収集し検討する。
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