研究課題/領域番号 |
26381090
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小池 孝範 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (80550889)
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研究分担者 |
小松田 儀貞 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 准教授 (00234881)
清多 英羽 青森中央短期大学, その他部局等, 准教授 (70557800)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会的包摂 / 居場所 / 社会的排除 / 地域コミュニティ / 生徒指導 / 道徳教育 |
研究実績の概要 |
社会的包摂とキャリア教育に関する近年の社会的動向および研究動向をふまえつつ、秋田県藤里町における社会的包摂の具体的取り組みの意義について分析・検討し、以下の4点が有効であることを示した。 ①社会とのつながりを形成するための就労支援として、汎用的な内容のみならず、一定程度継続的に、ある程度の専門性につながる職業・就労体験が有効であること、②就労支援事業への参加の促しに際して、個人の尊厳を尊重した「アウトリーチ」が必要であること、③これらの取り組みにおいては、物理的な意味のみならず、社会とのつながりを通じ、社会から承認されているという心理的な「居場所」を確立することが重要であること。④既存の様々な地域のネットワークを複合的に活用することが課題解決に向けた端緒となることである。 こうした成果をふまえ、新たな「キャリア教育」の具体的あり方について、(ⅰ)道徳教育の中での取り組み、(ⅱ)「いじめ」「不登校」を含む「生徒指導」上の取り組みについて検討した。(ⅰ)については、学習指導要領における内容項目にてらしながら、「勤労」の視点のみならず、他の内容項目、特に「よりよく生きる喜び」と関連付けた指導のあり方を検討・提示した。(ⅱ)については、日本の学校教育における「いじめ」「不登校」の問題の根底にある、小さな社会集団における排除という観点から、対症療法的な対応にとどまらない、待つことや成長を促す「居場所づくり」の重要性を指摘した。また、キャリア教育において、「出口指導」だけでなく、長期的な視点をもち、リタイヤやその後の再チャレンジなど、種々の可能性についての準備教育の必要性を提示した。 これらの成果について、学術論文・著書、学会発表等を通じて発表するとともに、フィールドとする地域におけるシンポジウムにおいてシンポジストとして参加することを通して、広く一般の方にも成果を還元した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来の研究最終年度であったことから、これまでの研究について研究計画にしたがってまとめを行い、その成果を発表した。ただし、本研究でフィールドとしている地域において、平成28年度より本研究の目的と深く関係する新規授業に取り組んでいるため、その内容や成果についても本研究として検討することとした。 そのため補助事業期間を1年間延長し、その研究成果について検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、研究は当初の計画通りにほぼ順調に進んだが、フィールド地域における新規事業についての分析、検討をふまえ研究成果を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールド地域において、本研究と関連の深い新規事業が実施されたため、その内容についての分析、検討をふまえ研究成果を発表するために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
新規事業についての追加調査を行なうとともに、今年度までの研究成果、および新規事業の検討をふまえた報告書の刊行を計画している。
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