研究課題/領域番号 |
26381093
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
岡村 弘 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30141732)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | KIDS発達スケール / 概念 / 対成人社会性 / しつけ |
研究実績の概要 |
音楽胎教を実施した新生児を追跡調査することによって、母親の胎児および乳児への関わりが、乳幼児期から幼児期にかけての心身の発達に及ぼす影響について検証しようとするこの研究の初年度として、東京福祉大学内に近赤外光脳機能測定装置(NIRS)を設置し、2台のNIRSの使用についての基本的な操作と測定のためのテストを行った。 また、音楽胎教を行った生後1~2年後の幼児の発達検査および母親へのアンケート調査を行った。 その結果を、国際幼児教育学会第35回大会において「胎教音楽が乳児の発達に与える影響についてー生後1年目の発達スケール測定結果ー」というタイトルで口頭発表した。 そのなかで、音楽胎教を受けた子どもの生後1年目の発達スケールの結果から,すべての下位カテゴリで実年齢よりも高い値をとっていることが示された。この時期は発達の個人差が非常に大きな時期ではあるが,発達スケール得点の中央値をみると,<概念>,<対成人社会性>,<しつけ>が中でも高い値をとっていることが示された。<対成人社会性>は親とのコミュニケーションに関連しており,<しつけ>は生活習慣に関連するものであるが,こうした結果は親の子育てのしやすさと関連することも考えられる。また音楽胎教を行った母親が何らかの効果を感じていることが示された。 さらに、日本保育学会第35回大会では、「新生児における歌声への反応に関しての一考察」というタイトルで、日本音楽教育学会では「CD音楽による胎教についての一考察」というタイトルで、それぞれ新生児の脳内酸素ヘモグロビン量の変化をグラフで表したものを比較検討した結果をそれぞれ口頭発表という形で報告した。 これらの結果は、いずれも音楽胎教が新生児および乳児に与えた影響が大きいことをしめしている点で意義深いと思っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1~2歳児へのNIRSの装着が可能かどうかを見るため、分担研究者の2歳の子どもを使って数回にわたってテストしたが、装置に対する拒絶反応が強く装着の困難さを痛感したので、音楽胎教を行った幼児へのNIRSによる測定を1年延期し、その間その幼児と母親に何回か面接して、まず初対面の緊張を取り除き、十分に親しくなってから測定を開始することとした。 また、協力保育所などでも、面識のないまま測定を行うことが非常に困難であると判断し、協力施設の十分な理解を得たうえで、次年度以降調査および測定を実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
音楽胎教を行った生後3年の幼児に、郵送によるアンケート調査および発達スケール測定を行い、さらに、時機を見て面接による調査を行ったうえで、近赤外光脳機能測定装置(NIRS)を装着した測定をできれば母子双方で同時に行うこととする。 この作業と並行して、研究協力保育所にお願いをして、音楽胎教を意識的にしてこなかった幼児(コントロール群)に対してアンケート調査および近赤外光脳機能測定装置を使用した測定を行い、音楽胎教の有効性を検証していく計画を立てている。
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次年度使用額が生じた理由 |
近赤外光脳機能測定装置による幼児への測定が行えなかったため、謝礼として用意していた金額を使わなかった。一方資料の整理、分析作業などで補助員をお願いし謝礼を支払った。それらの差引が使用予定額に満たなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度繰越金は、音楽胎教を行った生後3年の幼児に対する測定に使用。
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