研究課題/領域番号 |
26381095
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
駒 久美子 和洋女子大学, 人文社会科学系, 准教授 (10612608)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自発的な音表現 / 幼児音楽教育 / 即興 / 創造性 |
研究実績の概要 |
本研究は、幼児の集団的・創造的音楽活動を支えるひとつの手だてとして、これまで着目してきた「即興」と「応答」をベースとしつつ、幼児が日常で生み出す「自発的な音表現・歌唱」へも新たに焦点をあて、より総合的な幼児の創造的音楽活動における新たなプログラムを構築することが目的である。平成26年度はこの目的に照らして、歴史研究とフィールド研究を行ってきた。 平成27年度は、平成26年度の研究で得られた知見をもとに、さらなる歴史研究とフィールド研究を推し進めた。幼児が自発的な音表現をつくりだすには、まず音をよく聴くことが重要である。そして、すでに戦後の史料からは、幼児が音を聴くことの重要性に関する知見は得られている。そこで歴史研究では、戦前の幼児教育における音を聴く活動に焦点をあて、モンテッソーリの感覚教育における聴覚訓練を取り上げた。史料の検討を通して明らかとなったのは、モンテッソーリの聴覚訓練では、教具が用いられていたが、それぞれの感覚を分離させて刺激を与えるため、それ以外の用い方をすることができない。そのため、子どもが自由に音を探求することができるような余地はほとんどない。つまり、制約が多いことが明らかとなった。 フィールド研究では、前年度に引き続き平成27年度も週1回定期的に幼稚園を訪れ、幼児たちの日常を観察し、その中で生起する自発的な音表現に着目していった。また、前年度不定期で訪れていた幼稚園で行ったワークショップからは、幼児の主体的な表現を引き出す楽器あそびを幼児にとって身近な楽器であるタンブリンを用いて行う可能性について知見を得ることができ、10th Asia-Pacific Symposium for Music Education Researchにて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画に照らして歴史研究、フィールド研究とも、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度不定期にフィールドワークを行っていた協力園が、平成27年度は園長離任にともない、フィールドワーク不可となった。しかしながら、研究者自身が行ったワークショップや、週1回定期的にフィールドワークを行っている協力園での観察データは、充分蓄積できているので、平成28年度は新たなフィールド開拓は行わず、1園のみのフィールドワークとしたい。これまでの蓄積データをもとに、平成28年度は国際学会にて2つの研究発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度はパソコンを購入予定であったが、国際学会への参加、及び論文発表のために、英文校正等の支出が予定よりも多くなり、購入予定としていた機種のパソコンが残額では購入できなかったため、次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に購入を見送ったパソコン購入の一部としたい。
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