本研究は、子どもの発達やその指導の在り方等、現代の幼稚園が抱えている様々な課題についての対応として、「園の保育相談力を高める」という視点から、従来型の園内研修の問題点を整理し、改善点を見出していくことを目的とした。本年度は、3年間の研究の最終年度なので、これまでの研究の成果をリーフレットと研究報告書にまとめた。 リ-フレットには、私立幼稚園における園内研修の実態調査を、園内研修について園長が考えていること、研修担当教員が考えていること、新規採用教員が考えていることの3つの視点からまとめ、役職等の立場によって、研修のイメージや中堅教員の役割、幼稚園教員の専門性等についての受け止めの違いがあることを中心にまとめた。 研究報告書には、幼稚園教育要領の変遷とともに園内研修の内容を比較し、カリキュラム検討が中心になりがちな従来型の園内研修の課題を整理した。また、幼稚園の実態についての質問紙調査やインタビュー調査の結果をもとに、園長、研修担当、新規採用教員が抱く研修のイメージや中堅教員の役割等についてまとめた。 研究の成果として得られたことは、園の保育相談力向上のためには、「従来型」の園内研修から脱却し、日頃の保育の中にある個別の事例を取り上げ、教員間で子どもの見方や環境の在り方を話し合うことは大切であり、このような保育実践を交流して学び合う研修は、新規採用教員にも、また他の教員にも有効な研修であるということである。ただしこの場合、園内研修の中核としての中堅教員の役割は重要であり、中堅教員と若手教員との話し合いを中心にして園内研修システムを再構築することが求められる。すなわち、園内研修を通して、教職員間の学び合う関係ができていくために、園内研修の担い手としての中堅教員が果たす役割が大きいこと、今後の研究課題として、ミドルリーダーの育成が課題であることを確認した。
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