研究課題/領域番号 |
26381100
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
遠藤 野ゆり 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (20550932)
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研究分担者 |
大塚 類 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (20635867)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 低学力 / 支援困難校 / 見えない生きづらさ / 若者 / 恋愛不全 |
研究実績の概要 |
2015年度は、複合的な困難を抱える子ども、若者について、研究対象を拡大し、複合的な困難の多様な面についてリサーチをした。 まず、地域密着型の支援として、前年度に引き続き、児童養護施設に併設される小中学校での子どもたちの生活について、フィールドワーク調査を実施した。調査は9月と2月の2回実施し、9月の段階では、受験準備に入る中学生の支援の在り方を検討した。この研究成果は、『困難な状況にある子どもたちの通う小中学校でのフィールド調査報告書』第4巻にまとめた。2月の調査では、同じ施設を対象としつつ、対象年齢を5歳の幼児にまで拡大し調査を実施した。その中で、「ナナメ」関係にある大学生と子どもたちとの交流が、彼らのキャリア支援につながることが確認された。この施設では、本研究の準備段階を含め、4年間の継続的な調査結果が得られ、子どもの成長の様子がうかがえた。この研究は、脱地域型の支援であるが、一方で、地域密着型の支援として、関東地方の公立小学校における困難な子どもたちの支援について、継続的なフィールド調査を実施した。さらには、定時制公立高校にまで調査を拡大し、多様な年齢の子どもたちについて調査をしてきた。 脱地域型の支援として、広域型のフリースクールでのフィールド調査を実施した。その結果、学校に通えない子どもたちにとって、「地域の学校」が恐怖対象となりがちであり、脱地域型であることの重要性が明らかになった。もう一つは、大学生を対象とした「見えない生きづらさ」の研究を進めた。特に今年度は、恋愛不全などの問題を取り上げ、現代の若者たちが抱える困難について研究した成果を、学会等で発表した。こうした生きづらさを解決していくための一つの道筋としての他者理解のあり方についての研究も進めている。 なお、脱地域型の支援としてのシェルターは、被支援者の安全のために、今回の調査対象から外すこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね予定通りに進行している。様々な困難な状況に対する、地域密着型、脱地域型の支援の実態調査とその回復支援モデルとを作成するにあたって、前者は初年度より継続的な調査を実施しており、後者には「ナラティヴ・アプローチ」という手法が有効である、ということが見えてきている。 地域密着型の支援として、国内外の学校の状況を調査しており、発達障がいや貧困、低学力、家庭的基盤の弱さなどの諸困難が、特定の子どもに重なっていることや、そうした子どもたちの割合が一定以上になると、学校機能や児童養護施設の機能などに影響を及ぼしてしまうことが明らかになっている。また脱地域型の支援として、シェルターの調査を実施していたが、調査そのものは可能であるが、利用者の安全性の確保のためにその情報を開示することは、検討のうえ避けることとした。したがって、本研究は、地域密着型の研究が中心になりつつある。また、こうした状況への支援には、特定のおとなとの愛着関係を形成する必要があるという考え方と、広く開かれた関係の中で支援する必要があるという考え方とが、支援者によって異なっているために生じる、支援の課題もある。こうした課題について、子どもの置かれている状況のリスクに合わせて支援を多重にする必要性やその具体的方法を模索している。さらには、児童虐待の加害者となってしまう親がかつては虐待の被害者だったという調査結果に示されているように、被害、加害にこだわることのない包括的な支援を検討する必要性も明らかになっている。これまでの調査のなかで、立場にこだわることのない全体的な回復に向けては、当事者が自らの物語を語り、自分の人生を取り戻していくことが必要になる、ということが明らかになってきている。これらが、まだ言葉を十分に語ることのできない子どもたちに対してはどのように援用可能かを検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は最終年度にあたるため、実態調査と支援プログラムの開発の両方をまとめていくことが活動の中心になる。 地域密着型の支援について。国内の学校の実態調査は、おおむね、最終年度の9月までをめどに実施する予定である。その後、12月をめどに報告書を作成し、調査先である学校や施設での教職員との検討会を予定している。 脱地域型の支援については、広域型フリースクールでの支援の意義について、これまで、フィールド調査及びその支援者との定期的な検討会を実施している。 当該のフリースクールは、そのもととなるNPO法人が、地域若者サポートステーションなど多機能を担っており、複合的な支援のよいモデルとなることが推定されるため、その仕組みについての聞き取り調査を今後実施、まとめる予定である。 さらに支援プログラムを策定するために、今後、以下のような調査を予定している。①福祉大国デンマークにおける児童福祉、学校での支援の状況の調査(当初の計画にはなかったが、研究を進めてきた中でできたコネクションを活用し、デンマークの支援実態からヒントをもらう)、②ナラティヴ・アプローチによる支援が子どもたちにも可能であるかを明らかにするため、定時制高校での調査の実施、③同じく中学生以下の年齢の子どもたちにも可能であるかどうかを明らかにするため、離島など限られた環境での子どもたちに対する調査の実施、④ ①~③の内容をまとめ、問題の実態を明らかにするものや支援の方向についての書籍化。 なお、現段階までで、困難を抱える子どもたちには医療的支援が欠かせないことや、地域密着型の観点から考えた際に、地域医療の困難さなどが明らかになってきている。支援の方向として、当初の予定を拡大し、医療との連携をも視野にいれて検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
すでに利用し終えたサービスに関して、請求書等の書類作成に時間がかかり、決算が次年度四月以降にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
実質的な金額はすでに使用済みであり、特に計画はなし。
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