研究課題/領域番号 |
26381100
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
遠藤 野ゆり 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (20550932)
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研究分担者 |
大塚 類 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (20635867)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 見えない生きづらさ / ハンディキャップへの支援 / 継続的な支援 / 支援者の自由 / 社会適応 / 共同的意識 |
研究実績の概要 |
児童養護施設で暮らす子どもたちの学校生活に関してフィールド調査を行った。子どもたちが将来的に社会適応するために、大学生ボランティアと継続的に交流するプログラムを実施した。 また、ハンディキャップを多く抱える定時制高校の生徒たちの支援に、大学生など身近なロールモデルになりうる他者とのかかわりが有効であると考え、継続的な交流活動を1年間にわたって実施した。コミュニケーションに困難のある生徒たちが、学校を居場所と感じて適応を強めていったり、パートタイム労働ができるまで社会になじんでいくなどの変化が見られた。と同時に、こうした支援において、定時制高校や大学の提携など、支援の制度を整え、生徒と大学生の関係が継続的に維持できる仕組みづくりも検討した。 他方で、海外の取り組みについての調査も実施した。移民の多いヨーロッパでのエスニックマイノリティの支援や、任期付き外国人労働者の子どもの帰国後の母国での適応などについて、ドイツの取り組みを中心に、明らかにした。その中で、移民が社会の中にいることを前提とする支援づくりの実態を明らかにした。 また高福祉国で知られるデンマークにおいては、家庭基盤の脆弱さや発達障害などのハンディキャップを抱える青少年に対する支援の実態を明らかにした。高福祉国といえどこうした子どもたちへの支援には一定の制限がつくこと、また政府の規律が厳しくなることにより、労働者としての支援者が守られる一方で、自由で進んだ支援がしにくくなりつつあることが明らかになった。 以上のことから、複合的な困難を抱える子どもたちの支援においては、支援に直接携わる人々の自由度を保障することが重要であることや、子ども・若者の短期間での社会的適応を目標にするのではなく、ステップバイステップの目標設定が必要であることなどが明らかになった。ではそのステップごとにどのような支援が必要なのかは、今後の解明課題である。
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