研究課題/領域番号 |
26381107
|
研究機関 | 九州女子大学 |
研究代表者 |
木山 徹哉 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (20177942)
|
研究分担者 |
沙 秀程 九州共立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10522039) [辞退]
方 如偉 九州女子大学, 共通教育機構, 教授 (40238720)
中山 智哉 九州女子大学, 人間科学部, 講師 (00465907)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 義務教育 / 教育格差 / 農村教育 / 教育集団 / 教師交流 |
研究実績の概要 |
「都市と農村の教育一体化」政策の多様な展開の中から、江蘇省塩城市の事例を取り上げ、質問紙調査及び参観・聞き取りを実施して、実証的に研究活動を行った。最終年度(平成28年度)は、前年度に行った同市塩都区における調査研究の分析結果をフィードバックするとともに、新たに同市城南新区における「教育一体化」政策について参観・聞き取り調査を実施した。 調査を通じて、主に以下の点が明らかになった。(1)「教育一体化」を推進する母体として、優良校を中心に複数の学校が構成する教育集団が重要な役割を果たしていること、(2)教育集団内で行われる教師の交流、研修が教師集団全体の資質を向上させるとともに、教育集団の教育の質を全体的に底上げする大きな要因となっていること、(4)教育集団を構成する各学校が特色ある教育課程を開設することで、各学校の教育の質を向上させようとしていること。 以上のような「教育一体化」政策の推進によって、確かに地域全体の教育の質向上は先進的な地域で実現し、徐々に広がっていることも確認できるが、その過程で、いくつかの課題も浮上してきている。第一に、都市周辺の近郊農村の小学校は教育集団に組み込まれ教育の質を向上させているが、その埒外におかれる遠隔地農村学校は格差拡大の傾向すら見られる。そうした辺鄙な農村地区の児童生徒に対する義務教育保障は大きな課題となっている。第二に、教師集団全体の資質を底上げするために教師の交流が行われており、それが成果を収めていることも確認されたが、一方で、教師の交流が教育行政機関主導で行われており、各教師の生活実態や能力と派遣先の状況とを調整することが十分になされず、交流に対する教師の消極的対応も一部みられる。 以上の内容について、「江蘇省塩城市における都市と農村の教育一体化」を主題とする2本の報告書を公表した。
|