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2014 年度 実施状況報告書

保育者の精神的健康を促進する心理的援助の方策

研究課題

研究課題/領域番号 26381111
研究機関埼玉東萌短期大学

研究代表者

池田 幸代  埼玉東萌短期大学, 幼児保育学科, 講師 (50591533)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード教育学 / 幼児教育・保育 / 精神的健康 / 保育者ストレス / ストレスコーピング / 心理的援助
研究実績の概要

本研究は、保育者の精神的健康を維持するために有効な心理的援助プログラムを開発することを目的としている。初年次(平成26年度)は、研究実施計画に基づき、保育者特有の職業ストレスコーピング尺度を作成するために、職場の異なる保育士および幼稚園教諭に対して、職務上のストレッサーに対するコーピングの聞き取り調査を行った。
調査結果より、当初予定していた松尾・清水の小学校教師版ストレスコーピング尺度(2008,松尾一絵・清水安夫)よりも、庄司らの「職業用コーピング尺度」(1992,庄司 正実 ・庄司 一子)および五十嵐・宮下・田中の「中学校教師におけるコーピング尺度(2003,五十嵐守男・宮下敏恵・田中輝美)の項目が保育者のコーピングに共通性が高いと考えられた。
そこで、これらを参考に保育者のコーピングについての60項目の質問を作成し、郵送法による質問紙調査の配布・回収を、平成26年7月~9月にかけて行った。調査協力は南関東4県7自治体の幼稚園・保育所・認定こども園合計103園に対し依頼し、782名の保育者の回答を得られた。当初の計画では、調査対象とする保育者数は最低300名としており、計画を大きく上回る回答数を得られ、統計による分析の信頼性は上がったと考えられる。 回答を数値化し、因子分析を行った結果、庄司らによる会社員(専門技術者・技能者・事務職者・営業職者その他)を対象とした「職業用コーピング尺度」が、積極的行動・認知、回避的行動・認知、症状対処の 3因子より構成されているのに対し、積極的問題解決、気分転換行動、放置・回避行動、学習促進行動(すべて仮称)の4因子が抽出された。既に池田の先行研究(2012)より、保育者のストレス構造は他の職業者と異なる知見が得られたが、ストレスコーピングにおいても特有の方法を持つという結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年次に関しては、概ね研究実施計画に沿った研究活動を展開し、研究目的に沿った調査・分析を行い、研究成果をあげることができた。しかし、調査対象者数が計画を大きく上回ったために、分析の信頼性は上がったものの、入力作業に当初の計画の倍以上の時間を必要とし、その後、分析を行いコーピング尺度を作成する時期が遅れてしまった。その結果、初年次に計画していたコーピング尺度の妥当性検証のための質問紙の再配布・回収が不可能となった。
以上、計画外の時間を有したための計画の遅れはあったものの、研究成果の信頼性をあげるデータを得られた点を考慮し、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」と自己点検、評価した。

今後の研究の推進方策

「現在までの達成度」にも示したように、初年次の研究成果の遅れがあったため、保育者ストレスコーピング尺度の妥当性の検証のための質問紙調査と調査結果の分析、および心理的介入プログラムの試作と実施を並行して行うこととする。

次年度使用額が生じた理由

初年次は、「現在までの達成度」にも示したように、質問紙調査で得られたデータが調査協力者の厚意により、計画より大きいものとなった。そのために、データ入力作業に当初の予定を上回る時間と人件費を必要としたと同時に、他の作業に遅れがでたため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年次に関しては、保育者ストレスコーピング尺度を完成させるために、再度質問紙調査を行う。その際の費用として、協力者への依頼訪問時の交通費および謝礼、質問紙の印刷、郵送費、調査協力者への謝礼等を必要とする。その後のデータ入力・整理に関しては、初年次の状況を考慮して、補助員を定期的に雇うことを予定している。またデータの保管・分析のためにスキャナや統計関連ソフトウェア、心理学・統計学に関する書籍の購入を必要とする。
同時に、心理的援助プログラム作成を行うため、複数の保育者との定期的な面談を予定している。その際に謝礼金と交通費他、面談に使用する諸経費、および面談で得たデータ入力の人件費が必要である。
これらの計画に必要な費用として、当初の次年次の使用額計画を、初年次の研究の進捗状況および使用実績に合わせて若干変更する予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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