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2015 年度 実施状況報告書

3種のバカロレアに見る知の体系と社会化ーIB, BAC, OIB

研究課題

研究課題/領域番号 26381125
研究機関名古屋大学

研究代表者

渡邉 雅子  名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20312209)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード国際バカロレア / 国際オプションバカロレア / フランスのバカロレア / 知の体系 / 能力観 / 社会化 / グローバル化とローカル化 / グローバルな知とローカルな知
研究実績の概要

27年度は、3種類のバカロレアの教科書分析と各プログラムの修了生のインタビュー分析を行った。歴史と国語(日本文学・フランス語)、哲学及びTheory of Knowledge (TOK)の教科書分析からは以下のような知見が得られた。IBとBacはともに、歴史の教科書はテーマ別(thematic)に構成されており、抽象的概念(帝国主義や全体主義等)の把握が重視されている。個別の事例は抽象的概念を説明するための情報としてどれを選んでも良いとされている。例えば全体主義の説明においては、独・伊・中の全体主義はその成立過程や歴史的背景は大きく異なるが、3カ国の「違い」よりも「共通する概念」として把握する事が重視される。OIBでは時系列型の日本の教科書が使われるが、試験では抽象的な概念説明が中心となるため、バカロレア由来の3つのプログラムはいずれも概念の把握が重視されている。教科書の構成(及び実際の授業)では時系列で出来事を習ってテーマのロジックを理解した後に、年表で代表的人物と出来事を習い、次の頁で問いと結論を導くように構造化されており、IBとBacでは「試験の論述問題のモデル」になるような意味付けが教科書に提示されている。文学においてもテーマ(啓蒙主義、バロックなど)の中に作品を位置づけることが重視されており、ここでも「意味付け」が重視されている。TOKにおいては各学問分野の「知識産出の手続きの違い」を学ぶ事に主眼が置かれており、Bacの哲学ではデカルトの方法序説を中心とした理性による真実を知る本質的なルールがここでも科学や心理学の方法と対比されて教えられている。本研究では3つのバカロレアの違いを探る事を目的としているが、教科書分析ではむしろその共通点が浮かび上がる結果となった。それはバカロレアのプログラムが特殊な様式を持つ論文試験で締めくくられることに由来すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ほぼ研究計画書の年度計画通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

最終年度は必要があればフォローアップの調査にフランスに行き、調査の分析を完成させ、論文や著書にまとめる作業を行う。

次年度使用額が生じた理由

昨年度はフランスに授業観察調査に行かなかったため、その分が未使用となった。

次年度使用額の使用計画

28年度には、フォローアップの調査に行く予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Typology of Abilities Tested in University Entrance Examinations: Comparisons of the United States, Japan, Iran, and France2015

    • 著者名/発表者名
      Masako Ema Watanabe
    • 雑誌名

      Comparative Sociology,

      巻: 14 ページ: 79-101

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 大学入試でテストされる能力のタイポロジー―アメリカ、日本、イラン、フランスの大学入試問題比較から2015

    • 著者名/発表者名
      渡邉雅子
    • 雑誌名

      『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)』

      巻: 第62巻第1号 ページ: 1-13

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] アメリカの文学教育に見る文化資本のパラドックスと相乗効果2015

    • 著者名/発表者名
      渡邉雅子
    • 学会等名
      日本教育社会学会67回大会
    • 発表場所
      駒沢大学
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-09
  • [学会発表] 大学入試で測られる能力の類型と社会のパラダイム―アメリカ、日本、イラン、フランスの比較から―2015

    • 著者名/発表者名
      渡邉雅子
    • 学会等名
      日本教育学会第74回大会
    • 発表場所
      お茶の水女子大学
    • 年月日
      2015-08-29 – 2015-08-29

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公開日: 2017-01-06  

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