研究課題/領域番号 |
26381127
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
早田 幸政 中央大学, 理工学部, 教授 (30360738)
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研究分担者 |
杉岡 秀紀 京都府立大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10631442)
姜 達雄 (渡辺達雄) 金沢大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20397920)
堀井 祐介 金沢大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30304041)
前田 早苗 千葉大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40360739)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 公共政策大学院 / ラーニング・アウトカム / 認証評価 / 内部質保証 / アクレディテーション |
研究実績の概要 |
本年度は、書面調査と訪問調査の組み合わせで行った。 書面調査については、まず、教育プログラムの目指すラーニング・アウトカムの測定・評価を軸とする「内部質保証」の仕組みの効果的な運用が、教育プログラムの改善・向上に不可欠の営為であるという政策動向を念頭に入れつつ、我が国認証評価機関の「内部質保証」への取り組み状況を調査・分析した。次いで、アメリカの公共政策大学院プログラムの認証評価機関であるNASPAAの「評価基準とその解説」の全訳を行うことと併せ、書面を通じて、NASPAAによるアクレディテーションの国際展開の現状を把握した。 訪問調査については、2015年8月、オーストラリアの訪問調査を行った。 そこでまず、同国の高等教育アクレディテーションの現状と課題の把握を試みた。具体的には、メルボルン大学・高等教育センターを訪問し、同国の高等教育アクレディテーションを掌るTEQSA及び学位ベースのアウトカムの一覧として制度化されているAQFの内容の確認をした上で、両者の関係性について聞き取り調査を行った。 次いで、モナッシュ大学ビジネススクールMPPコースを訪問し、アウトカム・ベースに基づく質保証の活動に関する聞き取り調査を行った。そこでは、具体的に、入学者受入れ方針、教育目標とラーニング・アウトカムの関係性、カリキュラム構造と各授業科目の位置づけ、各授業科目ごとに行われているラーニング・アウトカムの達成度評価の手法、内部質保証の仕組み、内部質保証と外部機関によるアクレディテーションの関係性、について掘り下げた調査がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画として本年度は、オーストラリアにおける高等教育の質保証の現状を訪問調査を通じて確認することにあった。 本年のオーストラリア調査は計画通りに行われ、同国の質保証政策とその具体的な仕組みの調査に係る所期目的を達成することができた。モナッシュ大学ビジネススクールMPPコースの訪問調査でも、同コースの現況把握と質保証の概況確認を行うことができた。このことに加え、同コースを構成する各授業科目のラーニング・アウトカムとその達成状況に関わる測定・評価の方法を記した詳細な文書を入手することができ、アウトカム評価の実相をつかみその分析を行えたのは、当初計画を上回る収穫であった。 このことに加え、今年度は、当初計画にはなかった我が国認証評価機関の「内部質保証」システムの構築に向けた動きやNASPAAのアクレディテーションについての最近の動向を書面を通じて確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、2016年度は、イギリスの高等教育の質保証の仕組みについての訪問調査を通じ、その現状を把握し分析を加えることを予定している。 具体的には、同国の職能資格の枠組みとして確立されている「全国資格枠組み」と修士レベルの学位授与要件とされるコンピテンシーの関連性を、公共政策大学院が授与する学位に照準を当てて調査を行う。このための調査対象機関として「資格・教育課程協会(QCDA)」、「資格・試験監理機構(Ofqual)」の訪問調査を予定する。また、上記2機関の営む質保証活動が、公共政策大学院の学位授与にどう関わっているかを探るため、バーミンガム大学行政学研究科、ロンドン大学政策評価修士プログラムの訪問調査も試みる。 そして、2016年度は本科研課題の調査の最終年度に当るため、これまで3年間の調査研究の成果を報告書に取りまとめることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
訪問調査について、所要の経費を支出し充実した調査を行うことができた。書面調査についても同様に充実した調査を行うことができたが、その調査では主に、Webに上がった資料が用いれれ、書籍購入に関する支出が抑えられたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
書面調査に必要な書籍購入のために使用を予定するほか、書面調査、訪問調査が充実して行われたことに伴い、本年度末に作成する科研終了報告書が、当初の予定より大部になることが予想されている。そこで、繰り越された経費の一部を、同報告書の印刷費の一部に充てることを計画する。
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