本研究では、異文化間移動の過程で学びの継続が困難になりがちなニューカマー青少年の進路形成上の課題およびそれを克服するための諸条件について、主として学び直しの過程に注目しながら解明することをめざした。学歴や就労経験の異なる日系ブラジル人青年へのライフストーリー・インタビューを通じて以下の二点が明らかになった。第一に、早期の離学経験を有する者が学び直しに向かう契機は、離学の経緯や離学後の生活状況を反映して多様であること。第二に、学び直しの過程は、過去の喪失経験を自らの将来に資するものとして位置づけ直す作業をともなうこと。これは、キャリア形成における自らを語れる場の必要性を示唆している。
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