中国における少数民族の文化は、かつては村や氏族共同体において形成された独自の伝承装置を通して次世代へと伝わったが、中華人民共和国成立後は「二言語教育」の形で学校教育に組み込まれ、さらに1980年代以降は新しい教育課程モデルの実施に伴って、より多様な民族文化が教育課程として学校教育に定着するようになった。 本研究では、現地調査を通して、少数民族の伝統文化が学校の教育課程として成立するプロセス、その教育課程の実施状況と課題を明らかにし、グローバル化が急速に進む現代において学校教育が少数民族文化の伝承装置として働くべき役割、文化多様性の保全に寄与する教育課程モデルの可能性を検証した。
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