研究課題/領域番号 |
26381139
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
宮上 多加子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90259656)
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研究分担者 |
河内 康文 高知県立大学, 社会福祉学部, 講師 (20723448)
田中 眞希 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (60368850)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護福祉士 / 准看護士 / 養成教育 / 仕事の信念 / 経験学習 / 社会人教育 / 学び |
研究実績の概要 |
平成27年度は,平成26年度に実施した介護福祉士および准看護師養成校の社会人学生に対する面接調査の結果分析と公表を行った.「介護福祉士としての職業経験と仕事の信念―経験学習論に基づく分析―」(河内ほか 2016)では,他分野での就業経験をもつ介護福祉士が,介護現場においてどのような経験学習を行っているのかを明らかにすることを目的に質的調査を実施した.研究結果として,介護福祉士の仕事の信念は,【利用者志向】を中心として,【利用者主体か業務主体かの選択】をしながら【養成校での学びの意味】を内省していることが示された. 「准看護師養成校における社会人学生の仕事に対する思い―介護職経験者の学習プロセスの分析から―」(宮上ほか 2016)では,介護職等の経験後に准看護学校に入学した社会人学生を対象とした質的調査を実施した.准看護学生は,【福祉職から看護職への転職】【看護を実践的に学び始める】【自分自身と看護師像を重ねていく】【看護について仕事の信念をもつ】という局面を経る中で,仕事についての信念を固めつつ,将来のキャリアを描こうとしていた. 平成27年度の調査として,准看護師資格取得後に専門課程に進学した学生と,福祉施設等で勤務している准看護師を対象とした個別面接調査を実施した.調査実施数は,介護等の経験のある専門課程の看護学生12人(男性3人・女性9人)と,福祉施設等で勤務している准看護師12人(男性1人・女性11人)であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画については,当初予定していた保育士養成校の学生調査を平成28年度に延期し,新たな対象として准看護学校卒業後に専門課程に進学した社会人学生に対する個別面接調査を加えた.変更の理由は,准看護学生に面接した結果において7~8割程度の学生が進学して看護師免許を取得する意向を示していたことから,看護学校入学前の介護職等の経験と,医療分野における仕事の信念との関係を連続的かつ詳細に検討する必要が生じたためである.福祉施設等に勤務する准看護師に対する個別面接調査は,予定通り実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,人をケアする準専門職として介護福祉士・准看護師・保育士を選び,これらの資格取得のために社会人学生として養成校に入学した学生の養成校における学びと,卒業後の現場における学びを「仕事の信念」を軸に分析しようとするものである.3職種のうち,介護福祉士調査については,養成校の学生から卒業後に福祉施設等で就業している介護福祉士まで,「仕事の信念」に関する連続した変化を捉えるデータが収集でき,それぞれの段階での調査結果は論文として公表できた. 准看護師については,准看護師養成校の学生(20人),看護師養成校(進学課程)の学生(12人),介護施設等で就業している准看護師(12人)と,それぞれ調査データが収集できた.各段階における「仕事の信念」についての認識を整理分析するとともに,連続的な変化としても検討していくことが今年度の研究課題となる. 保育士養成校学生および保育士に対する調査については,平成28年度早々に開始し,年度前半に個別面接調査を完了するスケジュールを組む予定である.平成28年度は研究の最終年度に当たるため,3職種ごとの変化の分析と,職種間の比較検討を順次実施し,結果を公表していく予定である. 研究体制としては,研究代表者と同じ学部の専任教員2人の共同研究の形を取って研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた調査の一部を平成28年度に実施するようにしたため,旅費等の金額に変更が生じた.また,成果公表のための学会参加について,学内業務との関係で参加者数が減ったために旅費等が減少した.
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次年度使用額の使用計画 |
当初は平成27年度に予定していた保育士学生調査を実施する.また,研究成果の公表については,複数の学会への参加を予定している.
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