本研究の目的は、児童養護施設に入所する幼児の生活実態を把握し、課題を明らかにすることである。調査の結果、就学前教育機関の利用は66.5%、うち幼稚園が最も高く57.0%であった。4・5歳児に限定した結果を見ると、全国に比べ約12ポイントも低位にあった。また、幼稚園の児童養護施設の幼児に対する理解、入園時の「選抜」、幼稚園利用に伴う児童養護施設職員の負担などの課題が見いだされた。また、心理的・発達的・社会的に支援が必要な幼児も多い状況も確認された。「発達の連続性」の観点からも、就学後からの教育支援のみならず、就学前の段階から多様な支援の場が必要であろう。
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