研究課題/領域番号 |
26381149
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
鶴ヶ野 しのぶ 電気通信大学, 保健管理センター, 准教授 (10359630)
|
研究分担者 |
井上 まり子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20508048)
錦谷 まりこ 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (40327333)
矢野 栄二 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50114690)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 非正規雇用 / 健康格差 / 研究開発 / 女性労働者 |
研究実績の概要 |
研究3年目は以下を実施した。
①非正規研究者の集団として代表性が高いと考えられる大学非常勤講師組合加入者を対象として、健康と就労状況を明らかにするためのアンケート調査を実施し、結果の集計と解析を行った。その結果、非常勤講師のうち「専業非常勤」(他に常勤先を持たない者)の主観的健康感、不安・抑うつ状態、および健康診断の受診状況が不良であることが示された。さらにロジスティック回帰分析を用いて専業非常勤であることがこれらの健康指標に及ぼすリスクを調べたところ、いずれの指標においても専業非常勤であることは有意な健康へのリスクとして作用していることが明らかとなった。 現在、これらの結果を関連学会で発表するとともに論文化を進めているが、前年度、アンケートの実施準備や組合との調整に時間がかかったために、研究の進行全体が遅延している。また調査結果を報告書として一般公開する予定のため、結果発表に加え、現在報告書の編集作業を継続しているため、平成29年度も研究を継続することとなった。
②昨年度に引き続き、非正規研究者の健康や就労実態を調べるため平成28年5月に「非正規雇用研究会(日本産業衛生学会内)」を開催した。研究会では研究者や関連団体や当事者らとディスカッションを行って、情報収集ならびに提言を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、非常勤講師健康調査は研究2年目(平成27年度)までに終了予定であったが、組合側への調査への了解が得られるまでに長期間の調整を要したため実施が遅れ、その結果、データ解析や結果発表を行うまでに大幅な遅れが生じた。
その後の経過(学会発表および論文作成等)はおおむね順調に進んでいるが、全体経過としてはやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、関連学会や論文作成によりさらに調査発表を進める。また非常勤講師健康調査の結果報告書を作成し、組合を含め広く社会に研究成果を公開し、非正規雇用者の健康や就労を改善するための問題提起と提言を行う予定である。
そのために更なる研究期間が必要となったため、平成29年度も研究課題を延長することとなった。平成29年度中に課題を完了させるため効率的に作業を進め、研究者間で密に連絡を取りながら研究活動を行っていくものとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
非常勤講師健康調査の実施に際し、予定以上に準備に時間を要した。そのためデータ集計や解析に遅延が生じ、調査結果の学会での発表や論文作成、および調査結果を報告書としてまとめる作業を行うためにさらなる期間が必要となったため、次年度以降も研究費を使用する必要が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金については、研究結果の発表(論文作成、英文校正料、結果発表のための旅費、会議費等)として使用する。また、調査結果の報告書作成費(データ集計・編集を行う人件費、報告書の製本料等)としても使用予定である。
|