本研究は、大学経営研究の一環として、組織マネジメントの概念・手法が我が国の大学にどの程度受容されているかを把握し、受容されている(あるいは、受容されていない)要因を実証的に明らかにしようとするものである。マネジメント概念・手法の受容/非受容の要因を、各大学の特性や環境条件、あるいはマネジメント概念・手法自体に求め、定量的および定性的方法で分析することにより、マネジメント概念・手法は大学に適合的であるのか、適合的であるとすれば、どのように導入すればよいのか、適合的でないとすれば、従来の概念・手法を改善することによって導入可能なものとなるのか、あるいは全く新しいものを創出する必要があるのか、むしろ、従来型の大学運営が適しているのか、といった問題を検討することが本研究の目的である。 この目的の下、28年度は、テキストデータとして整備した各大学の自己点検・評価報告書のテキスト分析から、経営学で開発されたマネジメントの概念・手法が、各大学にどの程度受容されているかを明らかにした。また、このデータと大学ポートレート等を利用して別途構築したデータベースを結合して分析し、マネジメント概念・手法の受容がどのような特性の大学で進んでいるかを把握した。さらに、研究のプロセスで検討した私立大学におけるマネジメント概念・手法そのものについては、論文「私立大学マネジメント試論」として取りまとめ、後掲「研究発表」欄に示した紀要において発表した。
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