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2017 年度 実績報告書

韓国における学生人権条例の制定と定着に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26381158
研究機関龍谷大学

研究代表者

出羽 孝行  龍谷大学, 文学部, 准教授 (20454530)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード児童生徒の人権 / 教師の教育権 / 人権親和的学校文化 / 教員研修 / 教員の自律性 / 進歩教育監 / 校則改革 / 教員の資質
研究実績の概要

京畿道学生人権条例は全国教職員組合(全教組)という韓国の小中高等学校教員が加入する教員労組が中心に活動することで、成立にこぎつけた。しかし、全教組加入の教師全てが同条例を歓迎したわけではなく、学校内のヒエラルキーの中で、管理職や保護者、そして生徒からの圧力の間で苦悩する教師たちにとっては体罰をはじめとする生徒への「制裁権限」は自身が生き残るためのストラテジーでもあった。つまり、児童生徒への人権侵害問題は個々の教師による問題ではなく、学校の構造的問題なのである。こうした教師たちの生き残りの手段の一つが児童生徒人権擁護のために脅かされる事態になったわけであるから、抵抗も当然であった。
そんな中、同条例は学校内に存在するヒエラルキーを見直し、互いに人権親和的な学校文化を創造することを志向するものであり、教師の教育権を確立し、教師自身をも守ることに作用するものであることが確認された。こうした認識を一般の教師に浸透させるのは難しいものの、条例の制定により、条例に反する校則が禁止されるなど、実効性を伴う措置がとられ、従来当たり前であったと思われてきた児童生徒への人権侵害にかかわる事項が解消されてきたことも事実である。また、教師の意識を人権親和的なものに変化させるために京畿道人権教育研究会といった教師が主体となって結成された研究会が行う教員研修も有効に作用していたことが確認された。
こうしたことから、本研究では、①学校内のヒエラルキーを人権親和的なものに変革した、②条例に対する教師の反発は大きいものの、長期的に見て教師の教育権を確立するのに役立つ、③教育庁が制度化した条例の趣旨を理解するための教員研修を活性化することで教師の認識が高まる、④他の地域にも条例が拡散する萌芽がみられる、などの事柄が明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 韓国における教員養成機関評価制度-国家統制と大学の自律性-2018

    • 著者名/発表者名
      出羽孝行
    • 雑誌名

      龍谷大学教育学会紀要

      巻: 17 ページ: 61-78

  • [雑誌論文] 第9章 韓国2018

    • 著者名/発表者名
      出羽孝行
    • 雑誌名

      諸外国の教員養成における教員の資質・能力スタンダード(平成29年度 国立教育政策研究所 プロジェクト研究調査研究報告書)

      巻: 0 ページ: 75-83

  • [学会発表] 京畿道における「新しい教師研修プログラム(NPPT)」の展開と課題ー教科研修年職務研修に着目してー2017

    • 著者名/発表者名
      出羽孝行
    • 学会等名
      日本比較教育学会第53回大会

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公開日: 2018-12-17  

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