研究課題/領域番号 |
26381163
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
山岸 治男 日本文理大学, 工学部, 教授 (40136768)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域生活慣行 / 幼少年期の民俗 / 集団参加 / 自己役割の自覚 / 社会的発達 |
研究実績の概要 |
・研究代表者、山岸治男が着手した平成26年度の研究成果は次のとおりである。日本文理大学及び大分大学の付属図書館にて研究課題に即した図書の収集と精読に当たった。並行して、地域生活慣行に関する図書を、岩手県、長野県の各県立図書館において探索した。また、近時出版された図書を購入し、関連の深い図書から順に一読している。こうした研究活動を通して探究した内容をまとめ、11月に日本文理大学研究紀要に投稿した。投稿論文の課題と概要は次のとおりである。 「幼少年期の伝承民俗における発達体験について」(日本文理大紀要43-1,平成27,3). 要旨;幼少年期に体験する伝承民俗には、特定年齢に達した子どもに地域の仲間集団に強制加入させる仕組みがあり、そこでは年長児が年少児に対して年齢相応の発達モデルを体験的に習得させる仕組みがある。この仕組みへの役割参加は、決定的な理由がない限り(病や障碍)社会集団に参加して発達する「役割」を降りることができない仕組みとして機能していることが判明する。今日、「引きこもり」や不登校性が多出する背景に、こうした仕組みの後退があることが推測される。 紀要論文の投稿と並行して、日本生活体験学習学会にて1年間の研究成果を次のように口頭発表として報告した。「養育・保育・教育の連続性から見る地域生活慣行の体験」(平成27年2月1日、於九州大.)要旨;地域社会がひとまとまりの集団として機能していた時代には、年齢階梯的な集団が存在し、集団への所属を通して身体的、感性的、社会的発達を遂げる仕組みが機能しており、その上で各自の実存的発達が実現していた。近年、地域集団が後退し、特に社会的発達に問題が山積するのを感知するところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、近時増加してやまない「引きこもり傾向」や不登校生の発生を教育社会学的視点から分析し、その予防について一定の論証を行い、かつ予防の「臨床」課題を探るところにある。 この点に照らした場合、平成26年度の成果は、論証のための手順を捜すところまで進展したものと考えられる。申請者個人の、スクールカウンセラーなど地域で行っている実際的活動経験にも照らして、以後、「臨床」的課題にもアプローチしたいと思う。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の計画でまだ不自由分だった面として、保育所のカリキュラムの収集がある。また、地域に出かけて聞き取りする研究活動が本年度は本格化しなければならないと考えている。この2点を中心に研究をすすめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書費についてより関連の深い図書の選定をしたく思い繰り越しました。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に使用する予定です。
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