本研究は、幼少年期の集団参加体験が感性・社会性・主体性発達の基礎であるという仮説を、教育学、社会学、社会福祉学、民俗学等の視点から検討し、可能な限り臨床的に実証しようとしたものである。方法として保育所の観察、地域子ども行事の観察、中学校教育相談室での参与観察、先行研究の検討、諸学会出席による多様な視点の確保等を継続した。成果は次の通りである。 地域生活慣行には一般に、参加仲間との間に①身体的関与、②社会的関与、③感情の交換が伴う。息遣いを感じ、役割を期待し、結果を歓喜しあう。そこに他者との一体感が生まれ関係調整力を習得するのである。この体験が無い場合、思春期にひきこもりがちになる場合がある。
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