研究課題/領域番号 |
26381165
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研究機関 | 札幌国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
品川 ひろみ 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 教授 (80389650)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多文化保育 / スウェーデン / 外国籍児童 |
研究実績の概要 |
研究初年度である26年度は、基礎的なデータを収集することを目的としていた。 本研究が対象とするスウェーデンの保育情勢については、主にスウェーデン政府からデータを収集した。また先行研究についても一定程度は収集することができている。またもう一つの対象としている国内の自治体調査においては、実際にヒアリング調査を行うことができた。ヒアリング調査の対象となったのは、以下の施設である。 自治体のヒアリング調査においては、地域全体の状況について尋ねた。外国人児童の在籍に関しては、震災の時期に外国籍の児童が減少したものの、近年はまた増加の傾向があるとのことであった。また当初の予定にはなかったが、町内においてもっとも外国籍児童の比率が高い保育所の紹介を受け、保育所へのヒアリング調査が可能となった。また、平成27年度に予定している町内すべての保育所の保育士を対象とした質問紙調査を行うことが可能となった。 また自治体に紹介していただいたA保育園を訪問し、ヒアリングを行った。当該園は園児数125名のうち35名が外国人児童であり、その比率は28.0%となる。保育内容において、多文化を意識した取り組みもいくつか行われているが、もっとも興味深い取り組みはアイヌ文化を取り入れたものであった。この取り組みは当該園において数年前から取り組まれているものである。現在はアイヌの刺繍などの工芸や、保育者が河原で柳の木をとり、イナウ(神に捧げるためのもの)を作ったり、アイヌの踊りを踊るなどしている。またこれらは卒園式に披露することもしている。当該園においては多文化保育の一環として行っているという趣旨ではない。子ども達の多様な経験として取り入れているものであるが、結果として、子どもの多様性を育む事に影響しているのではないか。これらについては、27年度の本調査において明らかにしていきたい
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度である26年度は、予定していた調査等は順調にすすんでいる。特に27年度の調査対象地域の自治体の協力が得られたことは大きい。また自治体へのヒアリング調査も実現できていることから本研究が順調に進んでいる。研究期間全体で達成度を測った場合、25%~30%は達成できていると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、26年度に収集したスウェーデンの教育・保育政策についての資料の分析をおこない、28年度のスウェーデン調査のための準備をすすめて行く予定である。具体的には現状の施策について実施主体であるコミューンはどのように現状を把握しているのか。さらに現状においての課題等があきらかになるような構成をとする。さらには現地の協力者にも連絡をとり、28年度の調査がスムーズに進むよう準備を整えたい。 国内調査においては、大泉町の行政と保育所を対象とした調査をおこなう。調査は秋期に5日間程度の日程を予定している。質問紙調査の内容については、スウェーデン調査と比較できるような内容とする。また26年度の調査で明らかになったアイヌ文化の取り組みについて、それがどのような効果を与えているのか否かについても明らかにしていきたい。
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