研究課題/領域番号 |
26381167
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
濱中 淳子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (00361600)
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研究分担者 |
大島 真夫 東京理科大学, 理工学部, 講師 (60407749)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教師・生徒文化 / 学習時間 / 教育産業 / テスト / 入試改革 |
研究実績の概要 |
3年間というスパンで進める本研究は、Ⅰ.文献調査、Ⅱ.教師(高校教員)に対する聞き取り調査、Ⅲ.教師に対する質問紙調査、Ⅳ.分析・研究成果発信、という4つから構成される。初年度にあたる今年度は、本研究の意義をより明確にするために、そしてより有意義な調査の設計を実現するために、文献調査と聞き取り調査を丁寧に行った。 文献調査については、高校教育そのものを扱った文献とともに、(1)教育格差が叫ばれるなかで蓄積されつつある「効果のある学校」研究、(2)経営学者によって手がけられている「学習する(企業)組織」研究、といった分野の文献も視野に含めながら吟味した。結果として改めて確認されたのが「つながりの重要性」である。この理解を踏まえて、定期考査や教育産業に注目する本研究でも、具体的な軸足を「これら2つが教師と生徒のつながりにどのような影響を与えているか」という問いに定めることにした。 聞き取り調査については、すでに関係を構築している高校教員に依頼し、定期考査の実態ならびに教育産業の影響について実感している点を語ってもらった。これらの語りは次年度以降に行う調査に反映させる予定だが、他方でより広い視野から本研究を見直すべく、企業の人材育成に詳しい研究者にも聞き取り調査を行った。この作業から得られたのは、企業においても、トレーニングを外部に発注しているため、社員の成長がみえにくくなっているという示唆である。 高校には高校ならではの特性というものがあるが、同時に組織の活性化という文脈に関して、高校と企業が共有している課題も少なくないと判断された。こうした観点から、高校の特性をより明確化するためにも、企業との比較できるような調査への企画変更を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)当初の予定どおり、Ⅰ.文献調査、Ⅱ.教師(高校教員)に対する聞き取り調査の2つに取り組み、十分に検討することができたと判断している。 (2)教師(高校教員)に対する聞き取り調査については、実際に作成している定期考査や小テストなども提示してもらい、これらテストの難易度について、教科教育やテストの専門家の意見を傍証資料として収集しておくことを予定していたが、この点の作業は十分に進めることができていない。 (3)ただ他方で、高校の立ち位置を別の視点から見直すために企業の実態に詳しい研究者への聞き取りを加えたところ、H27年度実施予定の質問紙調査に対する重要なヒントを得ることができた。 (4)研究の軸足を調整する必要はあるが、来年度以降の作業を進めるうえでのデータは収集できたと考えており、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
企業との比較という視点から分析を進めることで興味深い示唆が得られるのではないかということがみえてきたことから、「企業関係者に対する聞き取り調査」と「企業人(とくに人事課)に対する質問紙調査」を加える方向で軌道修正を試みることにしたい。当初の計画にある「文献調査」「教師(高校教員)に対する聞き取り調査」もさらにすすめ、充実した質問紙調査を作成、実施するよう努めることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度であるH26年度に調査の分析に必要なパソコンならびにソフトを購入する予定だったが、それを調査実施年であるH27年度にまわしたこと、聞き取り調査を首都圏で行ったため、旅費が発生しなかったことなどが主な原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度にパソコンならびにソフトを購入すること、調査の規模を少し大きくすること、地方への聞き取り調査も積極的に行うことを予定しており、使用計画については問題ないと判断している。
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