研究課題/領域番号 |
26381168
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
藤川 聡 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20710908)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中学校 / 技術科 / 技術的能力 / 先行体験学習 |
研究実績の概要 |
本研究は中学校技術科において「技術的能力を高める先行体験学習」について検討し具体的指導法の開発を試みたものである。26年度は本事業の初年度であり,研究の位置づけを確認するため,日本の技術教育についての整理や日本の技術教育と世界の技術教育の比較研究を行った。それらをまとめ,学会発表を行った。 上記の土台のもと,「技術的能力を高める先行体験学習」の研究を進め,以下に示す3件の研究成果を得た。1件目は,木材加工の設計学習において,支援を要する生徒においても無理なく設計が行える「スチレンボードを用いた試作による指導法」を考案し論文発表を行った。授業実践の結果から,同指導法は支援を要する生徒においても設計のアイディアを容易に抽出できることを示した。2件目は,新エネルギーへの関心を高めるための導入製作題材として,圧電素子を用いたエネルギー変換学習の教材「LED-Saving Box」を開発し学会発表を行った。同教材は,電源にコンセントや電池を使用しなくてもLEDが点灯するため,環境に配慮した新エネルギーへの関心を高める効果が期待できる。3件目は,エネルギー変換学習において,回路設計のための試行錯誤が容易に行えるためのスイッチ基盤「STF基盤」を考案し,同基盤を用いたLED教材「My Woody Lamp」を開発し学会発表を行った。考案したSTF基盤により回路設計に向けた効果的な先行実験学習が期待できる。 今後は,上記の2件目,3件目の教材を用いた指導法の構築を目指す。そして,更なる教材開発を進めるとともに,技術的能力を高める先行体験学習についての理論構築を目指す
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定を上回る多様な教材開発が行え,学会発表や論文投稿を果たすことができた。一方,予定していた「失敗から学ばせる先行体験学習」については,その基礎理論の構築が遅れており次年度の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
失敗から学ばせる先行体験学習については,アンケート調査及び教育実践共に想定していた以上に学校現場は慎重な姿勢を示している。意図的に生徒に失敗させる学習が生徒にとってどのような影響があるのか不安であることがその要因であると推察する。今年度は,これまでの筆者らの先行実践を再精査,理論の再構築を行う必要があると考える。さらに得られた理論を論文化することにより,失敗体験における研究の有益性を示す必要があると考える。 学校現場の意向は可能な限り尊重すべきと考えている。そのため,予定していた先行体験学習のうち「失敗から学ばせる先行体験学習」に限り,上記の進捗状況により,研究内容及び研究方法の修正を検討する。 その他の先行体験学習については順調に進んでいるため,当初の計画通りに研究を進めていく。
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