研究課題/領域番号 |
26381171
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
吉田 剛 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10431610)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カリキュラム / 地理 / イギリス / オーストラリア / シンガポール / 香港 |
研究実績の概要 |
二つの主な成果を示す。1. NSW 地理カリキュラム2015 年版の地理的概念には, 二つの機能がみられた。内容的側面への機能は,学習テーマ・単元の設定の際に重く関係付けられ,方法的側面への機能は,学習内容となる地理的事象に対する学習・思考行為の際に,思考技能として活用される。また各地理的概念が内容的側面を中心に,地理的探究スキルや地理ツール,単元の内容などを従属させる基底力が窺えた。オーストラリアナショナル地理カリキュラム(豪地理)2013 年版では,従来のカリキュラム構造を刷新し,地理的概念の方法的側面への機能を強調させ,続くNSW地理2015年版では,内容的側面への機能を顕在化させ,両側面のバランスが図られた。他方で豪地理2013 年版とNSW地理2015年版における地理的概念の序列階層性には三つの階層がみられた。 2. 中学校学習指導要領社会科地理的分野(平成20 年版)でみると,地理的分野目標(2)(3)の内容や地理的な見方や考え方の理念的な内容については,各単元内容において具体的に落とし込み,授業実践へのその汎用性を高める必要がある。平成20年版は,異なる単元・スケールにおいて学習の内容的側面と方法的側面の各々に機能する地理的概念を様々に学習していくが,複雑で潜在的でありながらも発展的な段階が用意されている。しかしその意図を顕在化させ,明瞭に単元構成を行い,授業実践に反映させる方向も重要である。新しい地理カリキュラムの考える上で,一つの単元に多重なスケールから両側面に機能する地理的概念について,体系的に学習する方向も考えられる。様々な地理的概念の取り上げや,その配列・階層性,それに関わる学習対象となる様々な地理的事象・意味・意義の取り上げ方などの体系化や,それに伴って,地理的な見方や考え方にみられる地理的概念の利用のされ方も含めて,十分に議論する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画どおりに行えた。イギリス地理カリキュラムの動向の文献検討がやや不足しているが,一方で発展的に我が国中学校社会科地理カリキュラムの検討が深く行え,また小中高地理教科書の検討も行えた。
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今後の研究の推進方策 |
次の3点を中心に研究を進めていく。①これまでの国際地理学連合地理教育委員会による成果を検討し,今後の国際的地理カリキュラムの潮流を探る。②PISA調査スコア上位国であるフィンランド地理教育の動向を探る。③イギリス地理カリキュラムの文献検討を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にオーストラリア現地調査で,一部の都市に行けず,また,研究に必要な新カリキュラム対応の州教科書が購入できなかったため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
現地調査できなかった地域で調査を行い,研究上,必要な教科書を購入する予定である。
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