研究課題/領域番号 |
26381172
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
井門 正美 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60312691)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ゲーミング・シミュレーション / メディア / メディアリテラシー / むのたけじ / 原発問題 / 美味しんぼ / 美味しんぼ問題 |
研究実績の概要 |
本年度は、ゲーミング・シミュレーション「メディア」の開発を進め、主要な2つの成果を上げることができた。 1つ目は、メディアの特色を捉えることのできる社会問題として、「原発問題」、特にマンガ「美味しんぼ」の福島原発事故の描写を巡る問題、すなわち「美味しんぼ問題」をゲーミング・シミュレーション教材として作成した。「美味しんぼ問題」に関する多様なメディアによる報道や情報から対立的な見解を抽出して、時系列と反省的思考という観点から教材構成を行っており、提供される情報によって受け手の原発問題に対する立場・見解・判断を揺さぶる教材となっている。これを用いた授業を麗澤大学の教職課程科目「教育方法論」で実施した。学生は、獲得した情報によって立場や見解、判断等が変わることを経験し、メディアに対する批判的姿勢と自身に対する反省的姿勢を培い、メディアリテラシーを身につけていた。 2つ目は、「むのたけじ氏との交流」により、6月にむのたけじ氏の講演会(立教大学)への参加と7月に戦争とメディアに関する授業(秋田大学教育文化学部附属小学校・中学校)を実践したことである。前者では、筆者が指導していた秋田大学の学生2名が立教大学の学生2名と共に指定討論者の形でむの氏の話に対して質問や意見を述べた。後者は、約1年間かけて準備したむの氏を題材とした社会科授業を実践した。これらの交流や実践は、ABS秋田放送の取材がされ、8月15日に放送された。 以上が、本年度の実績であり、こうした実績を踏まえて筆者は、10月に全国社会科教育学会で発表も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筆者の所属(本務校)が変更(秋田大学から北海道教育大学へ転任)したことにより、担当分野が、教科教育分野(社会系教科教育)から学校経営分野担当に変わった。そのため、本務校での授業実践は困難となった。しかし、平成26年度に秋田大学において本年度の下準備をしていたため、特に「むのたけじ氏との交流」を進展させることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後については、以下のように展開する予定である。 1.ゲーミング・シミュレーション「メディア」(美味しんぼ問題)をネット上で実施できるサイトを構築する。→*平成28年度の前半期に試行版を作成し、リハーサルを実施する。*同年度の12月までにはサイトを構築し、アクセス可能にする。 2.「むのたけじ氏との交流」に関する一連の活動をまとめ、秋田大学社会科教育研究室(責任者外池智教授)と協働して、『むのたけじさんとの交流授業-学生は超百歳のジャーナリストから何を学ぶか-』(仮)を発刊する。→*学生がむの氏との交流の過程で何を考え何を学んだのか、そして、戦争とメディアについてどう捉えたのか等について論述する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
転任により研究計画上で、人件費・謝金の使用計画を変更せざるを得なかったため、次年度使用額が生じたことが主な理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
人件費・謝金として、データ入力、研究補助業務、ゲーミング・シミュレーション試行実践のための費用として使用する計画である。
|