本年度は、これまでの3年間のまとめとして、原発問題とメディアの関係、特に、「美味しんぼ問題」に関する学習サーバーを構築すると共に、筆者がこれまで行ってきたメディア及びメディアリテラシーに関する研究と実践の成果をまとめた電子書籍『メディアリテラシー教書』(NSK出版、2017)を発刊した。 まず、「美味しんぼ問題」の学習サーバー(http://www.ido-labo.com/gs/oishinbo/)では、これまで、教室の場で実践してきた「美味しんぼ問題」に関する講義をホームページ(HP)上で実施できるようにした。受講者にはIDとパスワードにより、当「美味しんぼ問題」HPに入る。この学習では、「美味しんぼ問題」を題材として、メディアによる情報とその受け手の意思決定について考えさせ、事実や問題の核心に迫る方法を追究させることを目的としている。この目的を達成するために、「情報の提示→意思決定」を繰り返して、学生が「美味しんぼ」や「美味しんぼ問題」の情報量を増やしていく中で、学生自身がマンガや問題に対する見解をまとめるようにしている。HPでは、受講者ごとに回答が記述されると共に、統計的な処理も実施され、全体の回答結果も確認できるようになっている。 次に、『メディアリテラシー教書』は、学生用テキストとして作成しており、特に、社会系教科におけるメディアリテラシー教育をどうすれば良いのか。「メディア」や「メディアリテラシー」の定義を行った上で、原発問題や資源エネルギー問題等を事例として挙げながら、メディアリテラシーについて論じている。 なお、本研究では、101歳で逝去されるまで現役ジャーナリストとして活躍した「むのたけじ氏」に関する研究と実践も行ってきた。現在、この成果についても著書としてまとめており、むの氏の命日である8月21日の刊行を目指して現在進行中である。
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