研究課題/領域番号 |
26381177
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中山 節子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (50396264)
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研究分担者 |
河村 美穂 埼玉大学, 教育学部, 教授 (00361395)
伊藤 葉子 千葉大学, 教育学部, 教授 (30282437)
藤田 智子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40610754)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 家庭科教育 / 研修プログラム開発 / アジア地域 |
研究実績の概要 |
本研究は、アジア地域諸国において、家庭科教員養成機関や人材が不足している課題に対応し、これまで日本の家庭科教育が蓄積してきた豊富な学際的研究知見と経験を踏まえて、アジア地域の家庭科教員の専門性向上や指導者の育成のための研修プログラム及び研修用テキストの開発とそのプログラムの効果を検証する実践的かつ実証的研究である。 平成26年度は、研究計画に沿って、研修用テキストと研修プログラムの開発を中心に取り組んだ。先行研究と聞き取り調査により、次の2点の知見を得た。1.家庭科の学習内容を系統的に指導していない国が多いため、アジア諸国の家庭科専門職及び研究者が、学習内容やカリキュラム、学習方法や学習の流れなど具体的にイメージできることが重要である。そのために、日本の家庭科の授業の参観や授業分析を実践したり、カリキュラムや学習指導の一部を自ら作成し、グループでディスカッションし深めるなど、実践的な活動を位置づけることが重要である。2.生活に必要な基本的な知識、技術、技能が何で、どのようにそれらを習得させるかを学ぶことができ、かつ、それらを系統的に学ぶことの意義を知ることができるのは、日本の小学校家庭科の教科書が適している。小学校において、家庭科を必修で実施している国は稀少であるため、日本の小学校家庭科教科書をモデルとした研修テキストを発信することは意義がある。 この知見を踏まえ、研修プログラムと研修テキストを構想した。 本年度の実績としては、研究計画の通りに順調に研究を遂行し、研修プログラムの内容とその進め方について確定したこと、また、英語の研修テキスト開発した点において、大きな成果を得た。これらの成果を千葉大学教育学部紀要への投稿において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画は、研修用テキストと研修プログラムの開発が研究の柱であった。研修用テキストは、特定の国を想定して作成するのではなく、日本の家庭科教育の蓄積を世界に発信する役割も兼ねることを意識し、日本の家庭科教科書をもとにした英語のテキストである。その内容は、小学校家庭科教科書を基にし、生活の基礎・基本となる事項、領域内容のバランスなどに重点をおき、小学校家庭科の内容に入っていないものを中学家庭科教科書から選んで補足した。テキスト全体のキーワードをQuality of life, Security and safety, Wellbeing, Relationships, Life planning, ESD, Independent individuals and supports, Global citizenships, Gender issues, Cultural diversity, Scientific perspectiveとして、家族・家庭経営・共生、保育、食、消費・環境、衣・住の五つに内容を括り、構成した。 研修プログラムの概要は、日本の家庭科の歴史的変遷、及びそれぞれの領域別の概要について学ぶ。また、カリキュラムや学習系統等の検討、授業参観を実施し、授業研究の方法を実践的に学ぶ方法をとる。最後に、研修のまとめと評価を実施する内容とした。 同時に平成27年度に実施する研修プログラムへの参加者確定の準備も進めた。アジア家政学会および千葉大学ツインクル事業のネットワークを利用して、インドネシア、タイ、シンガポールの3か国に公募し、参加者の選出を行った。 これらの研究の成果は、「アジア地域における家庭科プロフェッショナル育成プログラムの開発」(千葉大学教育学部研究紀要第63巻2015年)で公表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究計画が順調に進行しているため、研究計画通りに平成27年度の研究を遂行する。平成26年度の研究課程において、当初の計画以上に被服・住居・環境に関する領域の専門性を高めることが求められたため、今年度よりこの分野に精通している研究者を研究分担者として追加し、研修プログラムの強化を図る。研修プログラムの実施に向けて、参加者の研修参加のための招聘に関わる準備に着手する。また、研修プログラムの事前研修の実施を行う。 日本における研修プログラムは7月末の約1週間を予定している。昨年度確定した研修プログラムに沿って、研修を実施する。研修プログラム修了後、メール及びインターネット通話会議を実施して、自国での提案や実践をした結果について共有し、さらに意見交換をしてフィードバックを得る。 研究成果は、日本家庭科教育学会(鳴門大会)、アジア地区家政学会(香港大会)にて公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭科テキスト作成用のカメラを購入予定であったが、予算よりも安く購入することができたため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
家庭科テキストの編集に予算以上の費用がかかる見込みであるため、残額はその費用に使用する。
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