研究課題/領域番号 |
26381181
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
山田 一美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80210441)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 題材 / 主題 / 大阪万博 / 美術科教育学 / 図画工作・美術 / デザイン教育 / 現代美術 / 子どもの資質・能力 |
研究実績の概要 |
以下、平成27年度の実績概要を時系列で示す。1970年代の「現代アート」のジャンル・主題の分析については、前提となる「デ・クー二ングと抽象表現主義の主題」を加え、関連文献(リアーズ『近代への反逆』、グリーンバーグ『近代芸術と文化』ほか)、高松次郎・赤瀬川原平らの現代美術の動向把握、及び資料を収集することができ考察・執筆中である。大阪万博を支えた美術・デザイン活動を分析する過程で、亀倉雄策らグラフィック・デザイナーの成立により、新ジャンルのポスター芸術・広告、マーク、ピクトグラムが啓蒙・開発・活用され、学校教育の内容化が進んできた実態を捉えることができた。「現代アート」「美術」「デザイン」の特質と子どもの資質・能力の観点から、教科教育学における美術教育分野の独自性と汎用性について、『図工・美術科教育』(2015)に分担執筆した。1970年代「デザイン教育」については、亀倉勇策らが牽引したデザイン活動の特質について整理を進め、美術科教育学会にて発表した。学会誌における「ジャンル・主題・題材」論の分析については、主要2氏の論文に絞り、要点の描出と論点整理を行った。蝦名敦子論文では「鑑賞教材開発における題材観と題材例」(2009)ほか4本の関連論文を分析し、題材の概念・題材の設定・編成の在り方、題材化の意味を整理することができた。立原慶一論文では「主題表現法に基づく鑑賞及び評価能力育成」(2009)ほか6本の関連論文から、「題材論的方法」「主題表現」と「主題形成」、主題類型の特質・可能性を整理することができた。1970年代の「造形遊び」に関する「総合性」と、内容としての「主題・題材」の動向については、雑誌「美育文化」「教育美術」から分析・考察を継続している。また、「日本美術教育連合」の発表では、1970年代のデザイン教育が現在のコンピテンシー観と比較してどう考察されるかを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1970年代の「現代アート」のジャンル・主題を分析し、これを分析・考察基準として、1970年代に衰退した「デザイン教育」の実像を、雑誌「美育文化」「教育美術」から分析・評価しているが論点整理と論文執筆による成果発表が不十分であり、雑誌分析については継続中である。亀倉らのデザイン動向が、教育現場にどのように受容・反発されたかについては、雑誌「美育文化」「教育美術」の分析をさらに継続して論点を整理する必要がある。「主題・題材」の動向に関する分析・評価については、一定の成果は得られるが、1970年代の「造形遊び」に関する「総合性」の考察と合わせて平成27年度中の成果物の公表に至っていない。平成27年度の研究成果物は次年度の前半で逐次、繰り下げて発表するよう計画を修正する。 以上、論点の整理は進んでいるものの、成果物作成と学会等への投稿が計画から遅れている。資料収集・整理により、その過程で新たな論点を多く見出せたが、考察を論文に執筆するスケジュールが遅れている。とくに、東京学芸大学紀要、美術科教育学会誌、大学美術教育学会誌、日本美術教育連合研究論集への投稿・掲載による公表が実行できていない。このことから、平成27年度計画を調整し、スケジュールを修正することが必要である。 平成27年度の総括として、美術科教育学会研究発表(平成28年3月)で締めくくり、次年度の計画のスケジュールを見直し、報告書の印刷を平成28年度に変更する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)計画概要と現地補充調査:平成28年度は、大阪万博を取り巻く前衛・抽象表現美術の影響、デザイン教育の登場と衰退、総合化と造形遊びの導入について、総合的な視点からその変遷・特徴を描き論点をまとめる。平成27年度の計画にある成果物発表において、 発表の遅延が出た研究論文を順次整理し発表していく。大阪万博後の「デザイン教育」の衰退と、「デザイン教育」の代替・再生ジャンルとしての「造形遊び」(1977)の導入、万博期をめぐる前衛・抽象美術が与えた影響とジャンル・主題・題材の概念変容等に関する論点を、現在の教科内容学の視点から整理することに活用する。そのため、補充調査として、大阪府日本万国博覧会記念公園事務所を訪問調査し、事務所保管の当時の写真資料・文献資料、及び当時収集された児童作品等を分析・考察し、これらの有力な具体物をもとに本研究の成果を補完する。(2)ホームページへの掲載:成果物が得られ次第、研究ノート、研究資料、論文の3つのレベルでまとめ、ホームページに掲載できるようにする。「成果のホームページ公開作業」については執筆の遅れから平成28年度に繰り下げる。なお、学会誌等への論文掲載に至らない成果物がでた場合は、ホームページへ掲載し、発表の代替とする。(3)学会発表:次の学会を主として研究発表または投稿する。大学美術教育学会(9月、北海道教育大学担当)、日本美術教育連合(10月、東京家政大学担当・予定)、美術科教育学会(翌年3月、静岡大学担当)、その他、日程上、発表が可能な学会を探り、一連の成果発表に役立てる。(4)成果報告書:提出(平成29年4月)。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.研究計画の遅れから、美術科教育学会、大学美術教育学会、日本美術教育連合研究論集、ほかへの論文投稿料の使用がなかったことが挙げられる。2.大阪万国博覧会記念公園事務室への実地調査の必要が生じたことから、大阪万博をとりまく諸資料・文献調査によって、大阪府日本万国博覧会記念公園事務所が存在し、そこに当時の万博に関する写真資料・作品資料、子どもの作品資料等が保管されていることがわかった。平成27年度には現地調査ができず、平成28年度に実施する計画である。3.当初、平成27年度の実績報告書を作成・印刷する予定の遅れから、その成果物は平成28年度に印刷することに計画を変更し、費用が残った。4.ホームページ作成について、平成28年度に関連ホームページを作成するため、平成28年度に費用を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加旅費、学会誌等への投稿、関連書籍の購入、大阪府日本万国博覧会記念公園事務所への訪問調査、印刷物、ホームページ作成などに使用する予定。
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