本研究では、諸外国で通用している読書力評価を参考にし、日本の学校現場で児童・生徒・教師が使用する読書力評価パッケージを開発することを目的とし、次の2点を行っている。 1、諸外国の読書力評価を参考にし、小・中・高等学校で使用できるテストを開発する。 2、読書活動場面に即した質的分析手法を研究し、児童・生徒用のワークシートやルーブリックを開発する。 1としては、中学生または高校生が使用できる読書のテストを開発した。ジャンルも広げ、知識(言葉・古典の知識など)の本、小説、古典作品に基づいた物語に挑戦した。その結果、ジャンルに基づいて、テストの作り方が大きく変わってくることが確認できた。知識の本については、知識の範囲及びその表現の仕方、評価を受ける学年、先行知識の把握が重要となることが明らかになった。物語については、小説と古典の物語では、テスト作成において類似点と相違点があることが見えてきた。同時に、中学生または高校生が使用できるテストにするためには、多くの試作が必要であることも分かった。 2としては、パートナー読書という二人組の読書について、アメリカのIn2Booksの手法について深く研究した。その後、実際に日本の小学校で実験的研究を行った。その実験とは、小学校2年生と大学生がパートナーとなり、5種類の本を読んで手紙を交換するというものである。In2Booksで行われていた評価ルーブリックを適用しつつ、児童の手紙を評価し、そのルーブリックをより適切なものに修正していくという過程を経、このような交流を通して読書を評価する手法として手紙を評価するということに大きな手応えを得た。また、読者想定法については、小学生のデータ及び教員研修でのデータを積み重ね、想定した読者としての読者反応を書き出してみるワークシートで、読書力評価が行えることを確認した。
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