最終年次は,これまでの研究を継続するだけでなく成果の国際的文脈への定位を目指し,積極的に成果発信を行った。 具体的には,アイルランドの共同研究者と中等教育を事例に比較調査を遂行し,成果を国内学会と国際学会でそれぞれ連名発表した。また,英国における教員養成の側面からの考察結果を,英国教育学研究会で報告し,教科教育に止まらず比較教育学界への還元を目指した。これは,英国研究と日本研究とを教科教育・教員養成を基軸に対比し比較考察することにつながり,最終的には英国オックスフォードにおける地理教育研究集会での発表及び同集会プロシーディングス論文としてまとめ発信した。 さらに,国際共同研究展開状況研究結果からは,日本の組織的参画が求められていることを見出した。そこで,研究代表者はアメリカ地理学会(全米地理教育研究センター)から支援を受け,米国共同研究者M.ソルムとともに国内でパイロット事業(地理ケイパビリティ日本ワークショップ)を2016年10月上越教育大学で開催し,今後の国際共同開発研究のための組織を設立した。本ワークショップは,アジアにおける初めての地理ケイパビリティ・ワークショップであった。このパイロット事業を通し,ケイパビリティ論に基づく研修材開発ワークショップと職能開発の社会科教育学的意義が臨床実践的に確認された。
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