研究課題/領域番号 |
26381189
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
服部 一秀 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60238029)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歴史文化 / 社会における過去の取り扱い / 歴史教育 / 歴史授業 / ドイツ |
研究実績の概要 |
本研究は、現代社会における「歴史の文化」の探究力を育成する中等歴史教育の在り方を理論的・実践的に究明することを目的とするものであり、その前半部(平成26~28年度)では、ドイツにおける先進的事例の調査・分析を行う。2年目にあたる平成27年度においては、ドイツの中等歴史教育における基本動向について把握した昨年度の研究成果を踏まえ、(1)社会における過去の取り扱いに関する授業について原理的に究明すること、(2)社会における過去の取り扱いの探究力を段階的に育成するためのカリキュラムの構成について検討をすすめることを課題とした。 (1)について。過去の取り扱いという分析対象の時間的位置において対照的な2つの授業事例を分析・比較し、歴史上の社会における過去の取り扱いについて分析する授業と、現在の社会における過去の取り扱いについて分析する授業との違い、関係を明らかにし、論文として発表した。さらに、現在の社会における過去の取り扱いに関する学習に焦点化し、ドイツの歴史教科書に事例を求め、そのような学習の諸相と構造を明らかにし、学会研究大会において口頭発表を行った。 (2)について。以前に取りあげたことのあるザクセン・アンハルト州の前期中等教育段階用歴史教科書を改めて分析しなおし、年代史を中心とする歴史教育において現在の社会における過去の取り扱いの探究力を育成するための導入単元の役割や構成について明らかにし、論文として発表した。また、ベルリン市・ブランデンブルク州における社会科学(第5・6学年)と歴史(第7~10学年)の2015年版レアプランを分析し、第5~10学年における探究力の育成の段階性について検討し、学会研究大会において口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「歴史の文化」の探究力を育成するためのプランの開発の前提として、授業とカリキュラムの両レベルにおいて「歴史の文化」の探究力育成に関する基礎的考察をすすめ、それらの成果を2編の論文と2回の口頭発表において発表することができた。なお、2回の口頭発表の内容については、平成28年度に再検討の上、論文として発表することをめざしたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の前半部の3年目にあたる平成28年度においては、ドイツ歴史教育の事例分析を継続し、「歴史の文化」の探究力を育成する実践的方略について考察をすすめる予定である。 後半部の平成29・30年度には日本の中等歴史教育において「歴史の文化」について取り扱うプランの開発研究をすすめる予定であるが、平成28年度中に前半部の分析研究が終了しない場合は、平成29年度のはじめまで持ち越し、その上で開発作業に着手することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に基づいて今年度の研究を遂行することができたが、購入を予定していた図書の発行が遅れたこともあって次年度使用額781円が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額781円を予定していた図書の購入にあてることとし、次年度の研究を計画通りに遂行する。
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