本研究は、現代社会における「歴史の文化」の探究力を育成する歴史教育の在り方を理論的・実践的に究明することを目的とするものである。前半部(平成26~28年度)では、外国における先行事例の調査・分析を行い、後半部(平成29~30年度)では、その成果を活かして授業開発を行うこととしている。後半部の2年目にあたる平成30年度においては、平成29年度につづき、社会のなかの歴史に関するメタヒストリー学習についての基礎的考察に基づき、メタヒストリー学習の授業開発に取り組んだ。 今年度は、昨年度に山梨県内の現職教員とともに開発した「身近な地域の歴史」における銅像・記念行事・歴史祭りなどの取り扱いに関する授業について再検討をくわえ、論文「中学校歴史教育におけるメタヒストリーに基づく『身近な地域の歴史』の学習」(『教育実践学研究』24)を発表した。この授業は、ヒストリー学習を一環とするメタヒストリー学習を基軸とするものであり、現在の身近な地域における歴史の為され方を生徒が分析検討する地域探究としての新たな「身近な地域の歴史」の学習を可能にするものである。 また、今年度は新たに、山梨県内の現職教員らとともに、記念日(県民の日)を分析検討する授業、及び、博物館の歴史展示を分析検討する授業を開発し、日本社会科教育学会の第68回全国研究大会において発表した(『日本社会科教育学会全国大会発表論文集』14)。これらの授業についてはさらに検討をすすめて論文にまとめたいと考えている。
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