研究課題/領域番号 |
26381190
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中島 卓郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20293491)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音楽 / ドイツ / アビトゥア試験 |
研究実績の概要 |
本年度はドイツのバイエルン州の2012年及び2014年のアビトゥア試験(音楽)の分析を行った。2012年の試験に対しては、全4課題のうちの「第2-4課題」について,試験の内容を具体的な形で明瞭に提示し,その内容から試験で求められている学力について考察した。内容について調査・研究していくうちに、日本でいえば高等学校卒業年次に相当する学年段階で実施されているアビトゥア試験の内容についての具体を,資料として多くの教育・研究者に提示する必要があると考えた。現在の我が国ではドイツの音楽教育やナショナル・カリキュラムについての概念的な研究はなされているものの,学習の具体的な到達レベルについてはあまり知られていない状況にあることがその理由である. 考察に関しては、以下の6つの視点から行った。すなわち、①専門用語や記号の理解、②読譜および記譜能力、③編曲に関する技能、④作曲技法に関する知識および分析能力、⑤音楽史および社会的背景の理解、⑥テキストを通して音楽を捉える能力である。 その結果、ドイツの学校教育で求められている学力は、その専門性において高次のレベルにあり、音楽に関する幅広い教養に基づく総合的な思考・判断能力であることが明らかとなった。このような学力に関する具体性は、我が国には見当たらない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は、研究成果を日本学校音楽教育実践学会全国大会で口頭発表し、同学会紀要『学校音楽教育研究』第20巻にまとめた。そして、同学会の依頼により同誌に「海外教育事情」として研究成果の一部を紹介した。 また、『信州大学教育学部研究論集』第9号に研究成果を発表した。 そして、平成27年度9月にドイツ・ベルリンのDroste - Huelshoff - Schuleの授業視察を行い、同校教諭 Michael Riedel氏ほかへの聞き取り調査とともに、研究上の貴重な情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、2014年のアビトゥア試験内容の分析、ドイツで主として使用されている音楽の教科書『Drei Klang』の分析により、第5-10学年および上級段階までの指導内容の発展性について具体的に明らかにしたい。8月に開催予定の日本学校音楽教育実践学会全国大会(北海道教育大学岩見沢校)の「課題研究」において、学会からの要請により、研究成果を発表することとなっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった電子機器の発売が遅延し購入を延期したため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて、主に国内出張や成果発表、機器購入に使用する。
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