本研究では、発表活動を通した書く過程を調査・分析し、特に書くことにおける複数のテクストの相互関係を学習者が意識化して学習内容として習得する過程の一端を明らかにした。 図や写真、新聞記事を用いた授業を行い、文章と発表の談話を記録し文字化した。対話理論ならびに間テクスト性に基づく分析により、発表活動が書くことにおける複数の声の境界の自覚化につながっていることを明らかにした。また、引用される複数の声の文脈が話題とされることによりジャンルの意識化が表現活動において生じることを明らかにした。書くことの学習指導では、書き手が叙述するために必要とされる情報の文脈を話題とした問いかけが重要であることを指摘した。
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