研究課題/領域番号 |
26381201
|
研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
宇田 秀士 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (20283921)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 美術教育 / 図画工作 / 造形表現 / あそび / 現代アート / 「造形遊び」 / 内発的動機付け / 芸術概念の拡張 |
研究実績の概要 |
昨年度に構築した研究基盤・体制とそこで得られた成果を基にして,「研究課題1 美術教育における「あそび」概念の整理・構築」「研究課題2「あそび」概念の整理・構築に基づく<図画工作・美術科>題材及び授業モデル開発」「研究課題3 美術教師教育プログラムへの展開」の3つの課題を行った。研究代表者が整理した課題1に関する内容について,幼小中高の研究協力者と意見交換の上,<単元・題材>並びに授業モデルを開発し,その実践・検証を行った。代表者は,これら課題1,2の成果をふまえ,課題3に反映させた。 課題1については,前年度に引き続き,文献購入,各地方自治体の取り組み発表会への参加,民間団体や研究サークルの発表・授業参観を行い,資料収集し考察した。<内発的な動機づけを活かした実践>と<アート概念の拡散現象から導きだされた実践>の枠組みとその中で子どもが行う「試行錯誤,ゆらぎ思考,領域横断的な思考」などの造形的な学びについては小論をまとめ,発表した。また,現代アートを取り入れたドイツのアートプロジェクト学習について、マリオ・ウアラス氏(ハイデルベルグ教育大学)と意見交換し、氏の実践の源流と思われるデュッセルドルフ周辺のヨゼフ・ボイス縁の活動や現代アートの美術館を視察した。 研究課題2については,大学研究室と小中高教員である研究協力者の教室を結ぶ<単元・題材>開発システムを活用し,3Dスキャナー・コピー活用の「うつし題材」,版遊びを活かした「版題材」,土粘土と戯れる活動を取り入れた「土粘土題材」などについて検討をした。「土粘土題材」については,中学校で実践・検証し大学紀要に発表をした。 研究課題3については,前年度の研究をふまえ,大学教育及び現職教員向け研修会で試行をした。このとき,教師が内包する<意識-規範・文化>(実践を推進する意識とその根底にある規範や文化)の視点に留意しながら行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題1については,小中高の研究協力者との意見交換やドイツでの視察を通じて,思索の深まりが得られ小論をまとめられた。また、研究課題2については,妖怪を題材とした絵巻題材、3Dスキャナー・コピー活用の「うつし題材」,版遊びを活かした「版題材」,土粘土と戯れる活動を取り入れた「土粘土題材」について検討でき、題材の蓄積ができた。研究課題3については,大学教育及び現職教員向け研修会などで試行をし、必要事項が確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
課題1については,前年度に引き続き,文献購入,各地方自治体の取り組み発表会への参加,民間団体や研究サークルの発表・授業参観を行い,資料収集し考察する。<内発的な動機づけを活かした実践>と<アート概念の拡散現象から導きだされた実践>の枠組みとその中で子どもが行う「試行錯誤,ゆらぎ思考,領域横断的な思考」などの造形的な学びについては小論をさらに進め,美術教育における「あそび」概念の有り様を精緻に考察しまとめ上げる。また,<アート概念の拡散現象から導きだされた実践>の枠組みに関連して,現代アートを取り入れたドイツのアートプロジェクト学習について、マリオ・ウアラス氏(ハイデルベルグ教育大学)を招いて「美術科教育学会リサーチフォーラム」を大阪市にて開催予定である。ここでの成果も上記の考察に活かしたい。 研究課題2については,大学研究室と小中高教員である研究協力者の教室を結ぶ<単元・題材>開発システムを活用し,題材をさらに増やし,質も高めていく。 研究課題3については,前年度の大学教育及び現職教員向け研修会などで実践をもとに、さらに工夫をして行う。
|