本研究では、離島・山間部・都市部と、学校環境の異なる高校国語科教師がそれぞれ経験知として持っている教科内容観について、教師間での共通性と教師間での差異性とを概念化した。あわせて、個々の教師が、自身の教科内容観のかけがえのなさを認識するとともに、授業改善に向けてその教科内容観を編み直す過程も解明した。データは、授業観察とインタビュー調査によって収集し、研究手法としてナラティヴ・アプローチを採用した。本研究の意義は、教師の信念に基づいて教科内容観を概念化する傾向が強かった従来の国語科教師研究に対し、学習者の社会生活に資することばの学びという学習者起点での教科内容観を切り出した点に見出される。
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