本研究は、算数・数学教育における協同的問題解決の学習に関して、21世紀の知識構成観に立って学習者の主体性を前面に打ち出しわかり方の多様性を保証する協同的学びへの転換を図るとともに、全国の実践協力校との実践的課題の解決を試みたものである。 また、協同的問題解決の学習過程に関して、新しい知識・技能等を構成する過程と獲得した知識・技能を実際に使う過程とに分類し授業構成を試みたものである。学習過程に関しては、問題状況から問題を構成する「問題の構成」過程、解決の糸口や見通しを発見する推測から解決に向けた推論を構成・展開する「解決の見通しと遂行」過程、そして、解決に用いた手続きと結果の議論を通して論理を組み立てるとともに他の場面や新しい問題状況へ用いる「活用」過程から構成されるのである。 言い換えれば、学習者一人ひとりの問題解決過程において、学習者が必要に応じて学びの集団を構成し、他者との学びを展開するのである。また、その学びの集団の大きさとそこで展開される対話の内容は個々に異なるのである。なぜならば、未知なる問題に直面し問題解決に取り組む学習者一人ひとりの課題は多様であり、またその困難性はさまざまである。さらに、それらの困難性は学習者一人ひとりによってその深浅さは異なり、その出会う時期も決して同時ではないのである。この基本的な考えを基に問題解決の学習過程を再構成し、集団を基本とした学びの様式への転換を提案したものである。 ゆえに、この一連の学習過程が協同的問題解決の過程であり、“人はいかに学ぶか”の新たな学習様式である。
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