平成26年度より実施してきた家庭科教育学におけるユニバーサルデザインの先行研究、論文蒐集を継続して実施した。ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた教育は、特別支援教育において先行研究は多くみられるが、各教科教育、特に家庭科教育におけるユニバーサルデザインの考えを取り入れた研究は少ない。しかし、教育実践研究において、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業実践はここ数年認められるようになったため、教育実践研究を含めた先行研究事例を蒐集した。さらに、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた先進的な取組を実施している小学校の訪問調査も実施した。 先行研究・訪問調査で得られた知見をもとに、ユニバーサルデザインの考えを取り入れた小学校家庭科消費者教育分野における授業を構想した。学習に困難がある児童生徒を含む児童生徒全員が授業に参加し、理解を深めることができる授業をつくっていくことが、ユニバーサルデザインの考えを取り入れた授業づくりである。授業づくりでは、特に学習方法において、情報伝達の方法として視覚的な情報を提供することが有効な学習方法であることが示唆されていることから、ICTを有効的に活用することやデジタル教材、タブレットを活用することを学習方法に取り入れた。 また、教材・教具の作成のために、教科分析を実施した。家庭科教科書におけるユニバーサルデザインの考えが取り入れられている箇所について検討を行い、授業で使用する教材・教具づくりの参考とした。家庭科実習室については、ユニバーサルデザインの調理器具について、使い方・その効果等について検討を行った。 3年間の研究成果のまとめとして、ユニバーサルデザインの原理や考え方を取り入れた家庭科授業を構想し、その授業で活用する教材・教具を提案した。
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