研究課題/領域番号 |
26381219
|
研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
岩田 耕司 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90437541)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 中学校数学 / 関数 / 証明 / 説明 / 数学的モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,中学校数学科「関数」領域における「課題探究型の説明学習」や,その「学習軌道」を理論的・実証的に明らかにするための基礎的資料を得ることである。研究初年度としての本年度は,中学校数学科の関数領域における課題探究型の説明学習として望ましい説明の姿や,その姿へ近づけていくための学習軌道を仮説的に設定することを目的とし,研究を進めた。その結果,領域「関数」における証明を,「関数を活用して予測したり,解釈したりした結果を正当化すること」と捉えるとき,その正当化に必要な条件は,数学的モデル化の過程を視点として捉えられることを明らかにした。また,数学的モデル化に関わる先行研究をもとに,その過程を定式化(formulate),運用(employ),解釈(interpret)の3つのプロセスから捉え,各プロセスを視点に領域「関数」における証明の構成の学習レベルを次のように具体化した。 (F1)課題解決に用いる関数を示す。(F2)課題解決にその関数を用いることの妥当性を,数学的根拠に基づいて示す。(F3)課題解決にその関数を用いることの妥当性を,理想化・単純化等に言及し,数学的根拠に基づいて示す。 (E1)所定のデータから数学的結果(結論)を導く数学的処理の過程を記述する。(E2)所定のデータから数学的結果(結論)を導く数学的処理の過程を,用いた数学的モデルを明示して記述する。 (I1)解釈した結果には,制約が伴うことに言及する。(I2)解釈した結果に伴う制約が生じた要因に言及する。 これらの枠組みをもとに,領域「関数」における子どもの説明の実態を,量的調査を通して明らかにするための調査用具を開発することが,次年度の主要な課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度では,中学校数学科の関数領域における課題探究型の説明学習として望ましい説明の姿や,その姿へ近づけていくための学習軌道を仮説的に設定することを目的としていた。その目的は概ね達成していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,関数領域における子どもの説明の実態を明らかにするための測定用具を開発し,開発した測定用具をもとに量的調査を実施することとしている。調査の円滑な実施が可能となるよう,研究協力者と密に連絡を取り合い,事前に十分な計画を立てて,調査を実施できるようにすることが重要と考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費や物品費の精算額が当初見積りの金額よりも多少前後することがあったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
関数や関数教育に関わる図書の購入や量的調査の実施に際し必要となる消耗品等の購入に使用する。
|