研究課題/領域番号 |
26381219
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
岩田 耕司 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90437541)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中学校数学 / 関数 / 証明 / 説明 / 数学的モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,中学校数学科「関数」領域における「課題探究型の説明学習」や,その「学習軌道」を理論的・実証的に明らかにするための基礎的資料を得ることである。研究二年次としての本年度は,(1)前年度に設定した学習軌道を理論的に精緻化すること,および,(2)量的調査を通して関数領域における子どもの説明の実態を把握することを目的とし,研究を進めた。 (1)の目的に対しては,領域「関数」における「証明を構想すること」の学習レベルを次のように具体化し,前年度に検討した「証明を構成すること」の学習レベルと組合せることで,領域「関数」における証明の学習レベルの移行過程を精緻化した。 (P1)前提と結論を結び付けるために必要な関数とその用い方を,数学的モデル化の各過程を視点として探る。 (P2)前提と結論を結び付けるために必要な関数とその用い方を,数学的モデル化の各過程における正当化の要件を視点として探る。 (P3)前提と結論を結び付けるために必要な関数とその用い方を,数学的モデル化の過程を視点として探る。 また,(2)の目的に対しては,中学校第2学年と第3学年の生徒それぞれ約60名ずつを対象に,同一の問題を用いて量的調査を実施した。生徒の記述を分析した結果,定式化(formulate),運用(employ),解釈(interpret)という3つの規準のうち,運用に関する記述については上位レベル(E2レベル)を達成している生徒の割合が中学校第2学年で73.8%(61人中45人),第3学年で83.9%(62人中52人)と高かったものの,定式化や解釈に関する記述については,上位レベル(F3,I2)を達成している生徒の割合は,中学校第2学年,第3学年ともに5%にも満たなかった。このことは,領域「関数」における証明の学習において,水準移行を図るための教材開発や授業開発が急務であることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では,前年度に検討した学習軌道を理論的に精緻化するとともに,関数領域における子どもの説明の実態を把握することを目的としていた。その目的は概ね達成していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,これまでに検討した学習軌道をもとに,水準の移行を図るための典型的な教材や授業展開を検討・開発し,授業実践を通してそれらの効果を検証することとしている。授業開発や授業実践の円滑な実施が可能となるよう,研究協力者と密に連絡を取り合い,余裕を持って取り組むことが重要と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の効率的な実施の観点から,一部物品の購入を次年度に持ち越したこと,および,研究協力者との研究の打ち合わせを集中的かつ効率的に行うことを目的に,研究打ち合わせ会の開催を次年度に持ち越したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力者との研究の打ち合わせを集中的かつ効率的に行うとともに,修正したスケジュール通りに次年度に持ち越した物品の購入を行う。
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