研究課題/領域番号 |
26381221
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤瀬 泰司 熊本大学, 教育学部, 准教授 (30515599)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 批判的教科書活用論 / 中学校社会科 / 教育実習 / 授業評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的に照らした場合、平成27年度の研究成果は次の2点である。 第1に、批判的教科書活用論に基づく中学校社会科教育実習指導方法の開発に着手したことである。具体的には、本学部附属中学校に所属する2人の社会科担当教員の協力を得て教育実習指導の改革に取り組んだ。教科書の使い方に関する理解を深めさせ、社会科授業を作り実践させる実習プログラムを開発・実施することによって、社会科の授業作りにおける教科書の重要性を実習生に実感させることができた。この実習指導の詳細については、「反省的実践家の育成をめざす教育実習指導の方法」というタイトルのもと、2015年11月8日に宮城教育大学で開催された日本社会科教育学会第65回全国研究大会において報告した。 第2に、子どもの授業評価を活用して授業理論の妥当性を検討するという新しい授業理論の検討方法を開発したことである。ここでいう子どもの授業評価とは、子どもが教科目標を視点にして授業を評価することである。そのため、この評価結果を活用すれば、民主的な国家・社会の形成者としての自覚を培うことができると同時に、授業理論の妥当性を検討することができる。この新しい授業理論の検討方法を本学部附属中学校で試行した結果については、「子どもの授業評価を活用する授業理論検討方法の開発」というタイトルのもと、2016年2月20日に鳴門教育大学で開催された第27回社会系教科教育学会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
なぜなら、平成27年度の研究計画を予定通り消化したからである。平成27年度の計画は、批判的教科書活用論という新しい社会科授業論を教育実習指導に適用し、効果的な実習指導の方法を探るにことにあった。そこで、本年度は、この新しい授業理論に基づく教育実習指導を、4年次教育実習(4月実施)や3年次教育実習(9月実施)で行った。この指導の結果を分析・反省すれば、社会科教員としての自覚を効果的に培う教育実習指導の方法を開発することができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究目的は、批判的教科書活用論に基づく教育実習指導の方法を開発・完成させることである。そのため、次のような3つの手順を踏まえて研究を進めたい。 第1に、教科書の使い方に関する要点を3つ程度に絞り込み、指導者が「指導しやすい」実習生が「習得しやすい」教育実習プログラムを開発すること。第2に、新しく開発した実習プログラムを3年次実習で実施し、その効果を測定すること。第3に、以上のようにして行った教育実習の結果を学会で報告すること。このような3つの手順を踏むことによって、平成28年度の研究目的を達成する。
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