本年度は研究最終年度として、以下の研究を進めた。 ① 昨年度から引き続いて、教員を対象とする「〔共通事項〕教育の現状に関するアンケート」を実施した。また昨年度までに得られているアンケートの回答を併せて、過去5年間の集計および傾向分析を行った。 その結果、現場の教員は共通事項において、特に彫刻などの形体教育を苦手としていることが明らかとなった。 ② 共通事項に着目した指導案の作成および摸擬授業の実施。昨年度までに実施したアンケート調査で苦手傾向のあった形体教育について、教員の資質、児童生徒の資質によって教育効果が影響されにくい教材である「ユニバーサル教材」として、「風船を用いた可変鋳型を用いた流し込みによる成形」の指導案の作成と模擬授業を行った。また「ユニバーサル教材」の一環として、鑑賞教育で用いる複製作品教材の利用について、指導案の作成および摸擬授業の実施をおこなった。 ③ 作品および指導案の収集と整理については、前年度に引き続き作品の収集を進めるとともに、必要に応じて課題の作品を制作した。また作品のディジタルアーカイブ化を進めるため、ディジタルカメラ、ブックスキャナによる指導案、作品のディジタルデータ化を行った。 ④ ディジタルアーカイブの作成と利用については、昨年度までに試作したディジタルアーカイブの改良と、③で収集した新たなデータの登録を行った。また作成したディジタルアーカイブを、共通事項の標準的指導法における年間計画の作成で利用することによって、共通事項の指導の連続性を確保する年間指導計画の作成手順を定めた。
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