研究課題/領域番号 |
26381228
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
辻 政博 帝京大学, 教育学部, 講師 (60711702)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オーラル・ヒストリー / 創造美育運動 / 戦後の創造主義的造形教育 / transcription / 人間観 / 教師観 / 子供観 / 教材観 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦後当初に始まった「創造 美育運動」をはじめとする当時の造形教育の推進者、指導者から聞き取り調査及び資料の収集を行い、創造主義的な造形教育の検証を行なうことである。戦後、約 70 年が経過し、当時の指導者たちの多くが、逝去し、高齢化しつつある状態であり、オーラル・ヒストリーによる証言は、貴重な資料となると考えられる。 平成26年度は、5人のインタビューを実施した。①寒河江文雄氏(「想画保存会」代表。元創造美育協会学生会員)。②塩川寿平氏(野中保育園)。③鈴石弘之氏(元全国造形教育連盟委員長)。④岩崎清氏(元こどもの城造形事業部)。⑤西野範夫氏(元文部科学省視学官)。また、当初、予定していた野々目圭三氏(創造美育協会)と島崎清海氏(創造美育協会事務局長)は、体調不良のためインタビューを実施できなかった。島崎清海氏に関しては、本研究開始以前の事前調査で、インタビューを記録していたので、そのテープ起こしを行なうことができた。島崎氏は、H27年2月にご逝去されたので、貴重な資料となった。 オーラル・ヒストリーの手法は「話ことば」を「書きことば」に変換していく作業である。「transcription(書き換え)」によって異種の媒体に置き換えていく中で、当初の発話とはまた異なった意味が発生してくる。本研究における4つの課題である創造主義的造形教育の「人間観」「教師観」「子供観」「教材観」の視点は、資料化への精度と客観性をもたらすと考えられた。また、今後資料を積み重ねていく中で課題5のオーラル・ヒストリーの手法による創造主義的造形教育の理念と教育方法の構造化と明確化されていくと予想される。 戦後当初の指導者は、現在、極めて少なくなってきており、インタビュー対象者を調査しながらの研究となる。平成27年度は、さらにインタビューによる資料化をまずは図りたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①インタビュー対象者が、高齢なため体調や都合によって、インタビューが実施できない場合やインタビューが遅れる場合がある。 ②「話ことば」を「書きことば」に置き換えていく作業は、第2校、第3校と校正作業を慎重に重ねながら、進めていくため、たいへん時間がかかる。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューの予定としては、①山田星史氏(熊本県、光輪保育園園長)のインタビューと近隣の創造美育運動関係の幼稚園等の視察と資料収集。②高森俊氏(元創造美育協会)のインタビュー。③堀真一郎氏( 和歌山県、きのくに子どもの村学園設立者)のインタビュー。④板良敷敏氏(元文部科学省視学官)のインタビュー。⑤映画『絵を描く子どもたち』関係者へのインタビュー(羽仁 進氏:監督。小林静夫氏:カメラマン)⑥北川民次アトリエ訪問(瀬戸市安戸町)等、を計画している。 また、テーマに関連した児童画などの資料・文献等の収集やオーラル・ヒストリーに関する文献資料等の研究も行なう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に行ったインタビューのテープ起こし代金36,154円は、四月入稿のため(西野範夫氏インタビュー)H27年度に支払う。 また、当初、インタビューを予定していた野々目圭三氏が体調不良のためインタビューが実施できていない。同じくインタビューを予定していた島崎清海氏も、ご逝去のためインタビューができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度の残額は、4月入稿のテープ起こし代金(36,154円)と熊本方面へのインタービューと視察の旅費、宿泊費等に繰り越して使用する。 H27年度の予算は、主に①山田星史氏(熊本県、光輪保育園園長)のインタビューと近隣視察と資料収集。②高森俊氏(元創造美育協会)のインタビュー。③堀真一郎氏( 和歌山県、きのくに子どもの村学園設立者)のインタビュー。④板良敷敏氏(元文部科学省視学官)のインタビュー。⑤映画『絵を描く子どもたち』関係者へのインタビュー(羽仁 進氏:監督。小林静夫氏:カメラマン等)⑥北川民次アトリエ訪問(瀬戸市安戸町)等、また、テーマに関連した児童画などの資料・文献等の収集やオーラル・ヒストリーに関する文献資料等の研究等、での支出を計画している。。
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