研究課題/領域番号 |
26381239
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
酒井 達哉 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (10638050)
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研究分担者 |
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
宇都宮 明子 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (40611546)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生活科における歴史学習の調査研究 / 事実教授における歴史学習の調査研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の生活科に相当するドイツの事実教授が歴史学習の観点から育成を図るコンピテンシーに着目し、事実教授と生活科のカリキュラムや実践事例の比較検討を通して生活科独自の歴史コンピテンシーを確定することで、その歴史コンピテンシーを社会認識の基礎として育成する生活科教育スタンダードの開発を目的としている。本研究2年目の平成27年度においては、下記の成果を挙げた。 ・事実教授における歴史学習の調査研究(Ⅱ):事実教授における歴史学習の調査研究(Ⅰ)の結果を踏まえた上で、実際の授業では子どもと生活界と後続する教科の知識体系をどのように関連づけているか、コンピテンシーをどのように評価しているのかを分析した。ここでは、事実教授における歴史学習を実践レベルで解明することを試みた。 ・生活科における歴史学習の調査研究(Ⅱ): 第1に、事実教授における歴史学習と旧低学年社会科及び生活科における歴史学習の比較分析を行い、生活科ではどのような歴史学習を実施すれば、中学年以降の社会科での歴史学習と接続できるのか、子どもと生活界と後続する教科の知識体系を関連づけることができるのかを考察した。第2に、第1の考察を踏まえ、生活科における歴史学習ではどのようなコンピテンシーを育成すべきであるのかを考察し、生活科独自の歴史コンピテンシーを設定した。これら2つの考察を通して、生活科における歴史学習を理論レベルで解明することを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、コンピテンシーの育成・評価を実現するドイツの事実教授と日本の生活科の比較考察を通して、歴史コンピテンシーに着目した生活科教育スタンダードを開発することで、生活科が抱える課題を克服し、生活科教育研究の新たな発展を図ろうとするものである。本研究に当たっては社会認識の基礎としての歴史コンピテンシーに着目している。それは歴史は、①現在の諸問題を考察する上で不可欠である、②多様な文化・教養を通して、子どもを取り囲んでいる、③子どもの生活界の基本的要素であるということから歴史との主体的関わりを可能にする歴史コンピテンシーが子どもと生活界と後続する教科の知識体系を結節する役割を果たすと考えられるからである。そこで、ドイツの事実教授と日本の生活科における歴史学習の比較考察を踏まえ、歴史コンピテンシーを育成する生活科教育スタンダードの開発をめざす基礎研究を開始した。2年目の平成27年度には、以下の2点を研究成果として挙げることができたので「研究の目的」の達成度を「おおむね順調に進展している」の区分とした。 ・ドイツの事実教授学では、子どもと生活界と後続する教科の知識体系をどのように関連づけ、どのようなコンピテンシーを育成しようとしているのかを理論レベルで考察した。ドイツの事実教授に関する授業実践を収集・記録し、実際の授業ではコンピテンシーをどのように評価しているのかを実践レベルで分析をすることができた。 ・日本の生活科で育成すべき歴史コンピテンシーとその評価体系をドイツの事実教授との比較考察から構想した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、生活科独自のコンピテンシーを育成する実践事例を開発し、日本の生活科研究における新しい展望の開拓を構想するものである。本研究の今後の推進方策は下記の通りである。 ・ドイツの事実教授における歴史学習の調査研究(Ⅱ)の継続:授業分析による事実教授における歴史学習の実践レベルで究明する。 ・生活科における歴史学習の調査研究(Ⅱ)の継続:ドイツの事実教授と日本の旧低学年社会科及び生活科における歴史学習の比較分析による生活科における歴史学習の考察を行う。 ・生活科授業実践の開発研究:生活科における歴史学習の調査研究(Ⅱ)で明らかにした生活科独自の歴史コンピテンシーを育成するとともに、その到達度を評価する生活科教育スタンダード試案を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者である、原田信之と宇都宮明子が2016年3月に予定していたドイツへの調査が先方との調整がつかず延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
このドイツへの調査は今年度9月に予定している。
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