研究課題/領域番号 |
26381244
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松田 修 津山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60342549)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 数学教育 / 指導法 / 自由研究 / イノベーション |
研究実績の概要 |
本研究は,高校生年代の数学の自由研究に関する具体的指導法を開発することである。これは,日本の数学教育の一つの課題ともいえ,その研究結果はイノベーションという視点から見ても重要である。平成26年度においては,学内の自由研究に関する科目において,6人の学生に関して未解決を鑑賞させ,そこから個々がどのように感じ,どのように発展させるかという様子の観察と調査を行った。一人の学生は「リーマン予想」から発散級数に興味を示した。一人の学生は無理関数のマクローリン展開から,それに類似した関数のマクローリン展開に興味をもった。また2人のグループは,パスカル三角形から新しいタイプの数の三角形を構築することに興味を示した。さらに,別のグループは,ファレイ数列の単一細胞モデルへの応用に関する研究に興味を示した。その後,彼らのモチベーションは向上し,個々のレベルに応じた研究成果をまとめることができた。代表的な成果としては,高校生科学技術研究コンクールJSEC2014で優等賞の受賞が1件,学内の研究コンクールにて優秀賞の受賞が1件あった。以上の学生達の取り組みを検証し,モチベーション向上に影響を与えている共通的な要因を検討した結果,自由研究における指導法の最初の段階のモデルを次のように設定できた。ステップ1:学習者に理解できる未解決問題や現在行われている研究を示す。ステップ2:それらの問題にいきなり取り組ませるのではなく,その問題の意味を,学習者が思い思いに議論し鑑賞する。ステップ3:未解決問題の彼らなりの解釈から彼らなりの問題やテーマを発想する。ステップ4:発想した問題がどのような点で意味あると思うかを議論する。なお,9月に米子高専と都立産業技術高専の数学教員と学生達の協力も得て,数学の自由研究に関する研究会をに行い,その成果は日本数学教育学会高専・大学部会論文誌第21号に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)米子高専と都立産業技術高専の数学教員と学生達の協力も得て,数学の自由研究に関する研究会を実施した。(2)学生の数学的思考に関する抽出作業およびその後の観察から,自由研究における指導法の最初の段階のモデルを設定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,学生の数学的思考に関する研究からより具体的なデータを抽出し,具体的な未解決問題を用いた学習教材開発を推し進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体的には予定通りの予算執行であったが,残金の調整がうまくできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
設備備品15万円,旅費50万円,その他6万円で執行する予定,H26年度残金の599円はその他として使用する。
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