本研究は,英語の語彙レベルと会話能力との関連性を明らかにすることを目的とした。 平成26年度は実験材料作として語彙の選定を行った。実験参加者である高校生にとっての未習語として,Kawasaki & Terasawa (2009) で使用されている「英語検定1級レベル,かつ,『研究社新英和中辞典』の基本語:星印付き,約7000語に含まれない語」に基づいて単語をリストアップした。次に,実験に必要な設備として,パソコン,プリンター等を整えた。 平成27年度には,諸事情により研究対象を高校生から小学生に変更することとなり,実験計画の立て直しを行った。小学生の英語学習に関する資料収集から始める必要があり,専門の研究者から小学生の語彙力・英語力に関する聞き取り調査を行う等,情報収集を行った。その結果,語彙力にはばらつきがあり,また,会話力,すなわち英語を発話する能力においては実験対象とするだけのレベルに達していないであろうということが明らかになった。このことを受け,語彙力と会話能力の関連を測定する実験から,語彙力と単語・句の発話力を測定する実験へと変更をした。テキストファイルの音読をするフリーソフト“Balabolka”を用いて予備実験を行ったところ,音は聞き取れているが文字との関連付けが難しいことがわかり,文字認識を実験では使用しないこととした。その代替として,絵を用いて聞き取った単語が正しく理解できているかどうかを判断する材料とした。 平成28年度,29年度は,小学生対象の単語の選定と,絵でそれらの意味を表わすことができるかどうかの可能性を検討し,実験計画を構築した。単語の意味に相当する絵を作成し,実験用プログラムに実装する準備を行った。 計画の変更は予定外であったが,小学校での英語教育は喫緊の課題であり,今後の研究につながる研究となったことは大きな成果であった。
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