研究課題/領域番号 |
26381246
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
水戸部 修治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (80431633)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育学 / カリキュラム開発 / 読解力 / 国際情報交換 / 授業実践モデル |
研究実績の概要 |
平成26年度においては,各教科の学習に機能する読解力育成に先行的に取り組むベルリンの教育課程であるProlesen及びLesecurriculumの特徴分析を行った。またベルリン市における実際の運用状況を把握するため,ベルリン・ブランデンブルグ州立学校・メディア研究所の担当研究員への聞き取り調査を実施した。その結果Lesecurriculumは,学校全体で取り組む読解力向上のためのカリキュラムであり,学校での読書奨励の取組を,3領域9項目にわたって構造化していることを明らかにした。具体的には,①授業での読書 (ア) ドイツ語の授業で読む,(イ) ドイツ語以外の全教科で読む,②学校全体での読書(ア)読む文化への参加,(イ)保護者との連携,(ウ)学校図書館の活用,③協力体制づくり,(ア)読み聞かせボランティアとの協力,(イ)地域の方々との協力,(ウ)他地域の方々との協力,(エ)校外学習の場といった構造により,組織的かつ系統的に,各教科等において機能する読解力を育んでいることが分かった。こうした取組から,我が国の教育課程における読解力向上の推進に向けて,次のようなヒントを見出すことができる。①読解力育成カリキュラムという全体の枠組を明確にして取り組むこと。②その中核に,ドイツ語の授業改善があり,その重要な視点として,「各教科等の学習において機能する読解力」の育成があること。③上述のような読解力を育成するための授業実践モデルを多彩に開発・発信すること。 また,この知見を我が国の教育課程に適合したモデルとして提案するために,実践家や教育行政担当者等からなるワーキンググループを組織して,モデル作成についての検討を,月1回継続的に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベルリン・ブランデンブルグ州立学校・メディア研究所との連携により,ベルリン市における取組の状況を継続的に把握することができている。また,ワーキンググループのメンバーによるモデル作成やその試案の検証なども,順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Lesecurriculumの運用と開発は現在もベルリン市内において進行中であり,今後もその状況を把握することが必要である。再度ベルリンを訪問し,詳細な聞き取りを行う予定である。 ワーキンググループは第2年次以降も継続的に開催し,より普及効果の高いモデルを開発していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ベルリン訪問調査において,当初予定より実施期間が短く,またオフシーズンの訪問となったことから,経費が少なくてすんだことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
ベルリン訪問調査で500千円,国内図書館等訪問調査で123千円を執行予定。
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