研究課題/領域番号 |
26381248
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
柚木 朋也 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00311457)
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研究分担者 |
尾関 俊浩 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20301947)
田口 哲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60281862)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 霧箱 / 寒剤 / 放射線 / 融雪剤 / ホコリ / 中学校 / 教員研修 |
研究実績の概要 |
S霧箱の改良及びその効果を確かめるための実証研究を行うとともにS霧箱の具体的な利用法についての研究に着手した。 S霧箱は,カップ麺などの容器である発泡スチロールの一種であるポリスチレンペーパー (PSP)を霧箱本体に使用した高性能な霧箱で,入手,管理が容易な融雪剤(塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O))や塩化ナトリウム(+エタノール)などを寒剤として使用できる。そのため,ドライアイスなどを使用せずに容易に放射線の観察をすることができる。また,安価で製作が容易なため,生徒が自ら作ることも可能である。本研究では,S霧箱を実際に中学校と教員研修の場で製作し,ホコリの放射線の飛跡を観察した。その結果,身近にある材料だけで,ほとんどの学習者が自然放射線の飛跡を観察することができた。そして,それまで観察が比較的困難であったβ線の飛跡も容易に観察できた。また,実践後に学習者の放射線に対する認識の変容が見られた。これらのことから,ドライアイスや特殊な線源が無くても,S霧箱と寒剤を使用した実践が非常に有効であることが明らかになった。 線源については、空気中のホコリを効果的に集める方法とその特性について研究した。北海道教育大学の部屋で集めたホコリは,主にウラン系列の222Rnの娘核種であることが明らかになった。また,採取後1時間以内であれば十分に線源として使用可能であることも明らかになった。また,S霧箱は構造がシンプルなため,α線が紙によって遮蔽される現象を観察したり,β線が磁場によって曲がるようすを観察したりすることができるなど様々な応用が可能であることが明らかになった。 以上の研究成果により、S霧箱と寒剤を使用すれば,ドライアイスや特別な線源を必要とせず,自然放射線の飛跡やその性質をより容易に観察できることが明らかになった。
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